2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノヘテロ構造におけるスピン注入とスピン蓄積の理論
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 順一郎 Nagoya University, 工学研究科, 教授 (60115532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 博介 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00293671)
紺谷 浩 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (90272533)
大成 誠一郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80402535)
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Keywords | 強磁性半導体接合 / スピン注入 / トンネル電流のスピン分極率 / スピン軌道相互作用 / スピンホール効果 / 軌道ホール効果 |
Research Abstract |
スピントロニクス分野における重要課題である「スピンを導入した半導体素子における磁場制御」を実現するために,半導体へのスピン注入およびスピンフィルター効果の効率向上が望まれている.この課題に対して,本研究では,ショットキー障壁が存在するFe/GaAs接合におけるスピン注入・スピンフィルター効果に関して詳細な計算を行なった.その結果,界面においてショットキー障壁内に形成される界面共鳴状態が,スピン注入効率に大きな影響を及ぼすことが明らかになった.すなわち,GaAs側界面の下向きスピン電子状態に共鳴状態が出現し,このためショットキー障壁を流れるトンネル電流のスピン分極率が負となることが理論的に示された.この計算結果は光励起電子のスピンフィルター効果に対する実験結果と矛盾しないことが示された. もう一つの研究課題は,内因性スピン軌道相互作用によるスピンホール効果の理論,である.スピン軌道相互作用は,電子のスピンと軌道運動とが結合しているため,電場による磁性制御,または磁場による電流制御が可能となる.これに関わる重要な現象がスピンホール効果である.本研究では,遷移金属におけるスピンホール効果を,現実的強結合模型と原子内スピン軌道相互作用を取り入れて計算を行なった.その結果,原子間の電子の異方的な飛び移り係数と遷移金属原子の大きなスピン軌道相互作用を反映して,半導体で見いだされているスピンホール伝導度と比較して桁違いのスピンホール伝導度が得られた.現在,軌道ホール効果との関連を検討している.
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Research Products
(23 results)