2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノヘテロ構造におけるスピン注入とスピン蓄積の理論
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 順一郎 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (60115532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 博介 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00293671)
紺谷 浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90272533)
大成 誠一郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80402535)
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Keywords | 強磁性・半導体接合 / スピン注入 / スピントロニクス / スピンホール効果 / グラフェン |
Research Abstract |
磁性と伝導に関わるスピントロニクス分野における重要なキーワードは, 「磁場よる電流制御」と「電流による磁性制御」である。半導体スピントロニクスにおいて前者を実現させるために, 半導体へのスピン注入効率の理論的解明が重要である。金属スピントロニクスにおいて後者を実現させるためには, スピン流やスピン軌道相互作用の効果を明らかにする必要がある。平成20年度において以下の研究を遂行した。 (1) 強磁性体/半導体接合, とくにFe/GaAs接合におけるスピン注入効率を, ショットキー障壁のある現実的模型を用いて計算した。その結果GaAs側ショットキー障壁内に形成される界面共鳴状態の効果がスピン注入効率の大きな効果をもたらすこと, 特にGaAs側からFe側に電子が移動する際のスピン分極率が負となることがあることを明らかにした。 (2) 遷移金属のスピンホール効果を, 現実的電子構造を取り入れて計算を行った。半導体と比較して桁違いのスピンホール伝導度が得られており, これらの値は実験から推定される値を説明するものとなっている。また, 軌道のダイナミクスが重要となることも指摘した。 (3) 新しい物質としてグラフェンを取り上げ, スピンホール伝導度および接合系の磁気抵抗効果の計算を行った。 第一の研究結果は, 強磁性体/半導体接合作製に対して大きな指針を与えるものである。第二の結果は, スピンホール効果の本質を明らかにするきっかけを与えるものである。第三の研究は, グラフェンという新物質の特性を明らかにすることにより, 応用への可能性を検証するものである。
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Research Products
(27 results)