2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Keywords | スピントロニクス / 磁性 / 物性実験 |
Research Abstract |
強磁性体を円盤状に加工すると、スピンが試料面内で渦のように回転方向に整列する磁気渦構造が安定化され、その中心には、直径数ナノメートルの磁気コアが存在する(Science, 289(2000)930)。この渦状態に適切な周波数を持つ交流電流を印加すると、電流と磁気コアの相互作用によって磁気コアがドットの中で回り始めることをシミュレーションによって見出し、強磁性円盤の電気抵抗の交流電流周波数依存性測定を行うことで、この磁気コアの共鳴励起現象を実験的に捉える事に成功した(Phys. Rev. Lett., 97(2006)107204)。さらに、励起電流を大きくすると、磁気コアの向きが反転する現象を見出した(Nature Materials, 6, (2007)269)。 円盤中に閉じこめられた磁気コアの運動は、電流駆磁壁移動に比べて試料端の影響が少ないために、スピントランスファー効果を研究するためのより良いモデル系と考えられる。 本年度は、スピントランスファー効果の物理を明らかにするために磁気コアの電流誘起共鳴現象を定量的に研究した。バークレイのシンクロトロン施設のX線顕微鏡によって電流によって誘起された磁気コアの旋回運動を実空間・実時間で観測することに成功し、実験結果からパーマロイを流れる電流のスピン分極率を見積もった(Phys. Rev. Lett., 101(2006)237203)。さらに、磁気コアの向きをナノ秒電流パルスの印加によって制御することが可能であることを実験的に示した(Appl. Phys. Lett. 93, (2008) 152502)。
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