2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 義茂 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (50344437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 誠司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30397682)
野崎 隆行 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60452405)
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Keywords | スピン流 / 磁性体ナノ構造 / 高周波特性 / 熱輸送 / スピントロニクス |
Research Abstract |
H20年度は、反強磁性結合した膜を作製することにより、外部磁場の印加無しに高周波の発生が可能であるかをまず検討した。その結果、Fe/Cr/Fe多層構造を作製することにより、ゼロ磁場においても20GHzという非常に高い周波数の共鳴モードを得ることに成功した。さらに、この素子に高周波交流電流を印加して電流によるスピントルクと高い周波数の共鳴モードとの結合を調べた。その結果、外部磁場の印加により磁化の間に角度をつければ、電流と磁化の振動モードが結合すことを見出した。熱に関しては、スピンに依存したボルツマン方程式に温度勾配と熱流を導入することにより、スピン流の熱による発生およびスピン流による熱の発生にかんする基本的な式を導出した。さらに、この式を用いて、スピン流熱効果の大きさの見積もりを行い、その結果に基づき、赤外線レーザーを購入、素子の加熱実験を開始した。また、トンネル磁気抵抗素子の磁化の熱揺らぎに起因するノイズ強度を厳密に測定することにより、電流が熱揺らぎに与える影響を精密に評価した。その結果、電流は磁化の応答関数を変化させるが、磁化の揺らぎの原因となる熱浴からのランダムフォースに直接的な影響を与えないとの結果を得た。この結果は、電流下では磁化は同じ大きさのランダムフォース(同じ熱浴の温度)に対しても異なる応答を示すために、スピン系の温度が熱浴の温度と異なる状態になることを意味する。
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