2008 Fiscal Year Annual Research Report
光増強場における多光子光化学反応誘起とそのダイナミクス
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
19049004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (00283698)
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Keywords | ジアリールエテン / プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / 金ナノ粒子 / 開環反応 / ギャップモード / 蛍光増強 / 近赤外光 |
Research Abstract |
我々のグループでは、主に金微粒子や金ナノ構造体を「光-分子強結合反応場」として用い、その電場増強能を利用して、高い効率で多光子吸収反応を誘起する試みを行なっている。化学におけるこの概念を一般的確立を大きな目標とし、(1) 実際の反応系の探索と確認、(2) 反応誘起の最適条件と特徴の明確化、(3) 反応のダイナミクスの解明、などを推進する。 また、金ナノ粒子の表面プラズモン吸収に基づくポリマーフィルムのサブ波長ナノ加工も推進している。 金ナノ粒子を集積固定したガラス基板を作製し、そのSERS機能が発現するように最適化した。この基板にジアリールエテン類を添加したポリマーフィルムをスピンコートした。この分子(閉環体) の光開環反応(脱色反応) は、通常は可視光励起で起こる。我々は、作製した金ナノ粒子の光電場増強能に基き、近赤外光(808 nm) 照射によってこの開環反応を誘起することに成功した。この場合、近赤外光照射は金基板のギャップモード励起に相当する。こ反応収率の励起高強度依存性より、この反応は2光子吸収により開始されたと考えられる。照射はパルスではなく連続光照射であり、照射光強度は>0.1W/cm^2であり、微弱な光照射により2光子反応が誘起できたと考えられる。さらに、光照射時の金ナノ粒子近傍の温度上昇に関しても実験的な検討を行ない、熱反応の可能性を除外できた。 また、これと類似した金ナノ粒子固定基板にニートのポリマーフィルムをスピンコートし、金ナノ粒子の表面プラズモンを共鳴励起する波長532 nmのナノ秒パルスレーザー光をシングルショットで照射した。その結果、レーザー光波長の1/10以下の直径10〜50nmのホールをフィルム表面に形成することに成功した。
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