2010 Fiscal Year Annual Research Report
光増強場における多光子光化学反応誘起とそのダイナミクス
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
19049004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00283698)
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Keywords | ナノギャップ / ナノアンテナ / 光捕捉 / ジアリールエテン / ホトクロミズム / プラズモン / 金ナノ粒子 / 電場増強 |
Research Abstract |
我々のグループでは、主に金微粒子や金ナノ構造体を「光-分子強結合反応場」として用い、その電場増強能を利用して、高い効率で多光子吸収反応を誘起する試みを行なっている。化学におけるこの概念を一般的確立を大きな目標とし、(1)実際の反応系の探索と確認、(2)反応誘起の最適条件と特徴の明確化、(3)反応のダイナミクスの解明、などを推進している。本年度の成果は以下の通りである。 プラズモン増強光化学反応においては、貴金属ナノギャップ・ナノアンテナに局在する光電場を用いて反応の高効率化をはかる。この際、光子だけでなく、対象とする分子や触媒微粒子がギャップに捕捉・局在することになれば、より一層の反応効率の向上を図ることができるであろう。そこで、プラズモン増強電場に基く微粒子の光捕捉を試みた。その結果、10nmの微粒子を微弱な光照射で捕捉することに成功した。さらに、(1)分光学的にプラズモン捕捉の動的挙動を解明した、(2)鎖状高分子の光捕捉にも成功した、(3)光共鳴法の導入により捕捉効率を大きく向上することができた、(4)短パルスレーザーを用いた捕捉効率の向上成功、などの成果を得た。 一例として(2)では、2種類の蛍光色素を添加したポリマーナノビーズを用意し、非共鳴励起条件と共鳴励起条件下で捕捉挙動を調べた。その結果、共鳴条件下で一桁程度捕捉力が増大したことがわかった。現在、定量的な解析を急いでいるところである。 この他にも、蛍光性ポリマーナノビーズを捕捉対象にし、捕捉力の光強度依存性を詳細に調べた。その結果、安定な捕捉には光強度の最適値があることがわかった。光強度が最適値を超えれば捕捉力は増すものの、捕捉を阻害する作用(例えば熱対流)が拮抗すると考えられる。 捕捉挙動の光強度依存性ならびに粒子サイズ依存性に関して定量的な一連のデータの収集を行ない、さらに光共鳴効果を最初に実証し、プラズモン光捕捉の全貌を明らかにしたい。
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