Research Abstract |
本研究課題では,有機-金属ヘテロナノ界面における表面プラズモン(SP)励起反応の例証とその反応制御法の確立,新たなハイブリッドナノ構造体の創製を主たる研究目的とした.バルク金属あるいは金属ナノ粒子におけるSP共鳴場と光応答性分子またはその分子集団との相互作用はまさに光-分子強結合反応場であるが,化学反応への適用例証は皆無であった.本年度は反応場用基板とその場における可視光重合について詳細に検討した.以下に研究成果をまとめる. (1)共沈法により作製される銀ナノ粒子コアーDAシェル型ハイブリッドナノ結晶において,紫外線照射によるDAシェルの固相重合,つまりポリジアセチレン(PDA)シェルへ変換する過程で,銀ナノ粒子コア由来のSP強度が,その共鳴周波数を変えること無く,ダンピングするという現象を見出した.これはナノ界面での分極(双極子モーメント)状態が発生し,その結果,銀ナノ粒子コア表面が局所的に非金属化(フェルミ準位の消失)することによる自由電子の平均自由行程の減少がダンピングの原因と推定された. (2)SP励起重合の一般的可能性を検証するために,SOR露光でパターンニングしたSi基板上に金スパッタし,これを反応場とした.超音波照射を行いながら,MMA/EGDMAと光重合開始剤Lucirin TPOを溶解させた後,基板上にスピンコートした.可視光照射はキセノンランプ(波長:420〜500nm)を用いて行い,その後,EtOH中で30分洗浄し,SEM観察を行った.その結果,金スパッタが疎密な場合のみ,パターンエッジ上にPMMAと思われる不溶物が生成した.一方,金スパッタを稠密且つ平滑に行うと不溶物の生成は確認されなかった.
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