2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機薄膜を被覆した金属ナノ構造の作製とその光応答の時間・空間分解計測
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
19049011
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 剛 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20243165)
|
Keywords | 局在プラズモン共鳴 / 金属ナノ粒子 / 顕微分光 / 単一粒子分光 / 光反応 / フォトクロミック反応 / 蛍光増強 |
Research Abstract |
金や銀の金属ナノ粒子に誘起される局在プラズモン共鳴と粒子近傍分子との相互作用の解明を目的に、顕微鏡やレーザーを駆使した分光手法によって以下の項目について研究を実施した。 1.金属ナノ構造の単一粒子分光:顕微光散乱分光法により、金ナノフレーム、銀ナノキューブの局在プラズモン共鳴スペクトルを単一粒子ごとに測定、比較した。サイズ依存性、偏光依存性を詳細に調べ、これらのナノ構造の光学特性の特徴を明らかにした。また、フェムト秒レーザー照射によるプラズモン共鳴スペクトル変化の観測から、レーザー照射によって水中の銀ナノキューブがその形状を保ったままサイズが小さくなることを見出した。2.局在プラズモン共鳴によるフォトクロミック反応速度の増大:金ナノ粒子の局在プラズモン共鳴によるフォトクロミック反応速度の増大効果を異なるフォトクロミック分子について比較し、分子の種類によって異なることを見出した。また、励起波長効果等を詳細に検討した結果、粒子近傍での反応速度の変化が局在プラズモン共鳴による局所電場の増大では単純に説明できないことを明らかにした。3.蛍光増強効果:銀ナノキューブをドープした色素薄膜の顕微蛍光分光により、蛍光強度およびスペクトル形状がナノキューブのプラズモン共鳴バンドに依存することを明らかにし、プラズモン効果によって発光の遷移確率が増大することを実験的に明らかにした。こうしたした知見は、本特定領域全体の目的である金属ナノ構造を反応場とする新しい光化学の開拓において、光反応に対する局在プラズモン共鳴の効果の機構を議論する上で重要なものである。また、これらの成果は特定領域内の他の研究グループとの積極的な共同研究によるものである。
|