2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 亮 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80256495)
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Keywords | フォトクロミズム / 高分子ゲル / 振動反応 / 機能性表面 / アクチュエータ |
Research Abstract |
我々はこれまで、化学振動反応(BZ反応)を利用し、心臓の拍動のように一定条件下で自発的に周期的リズム運動を行う新しい自励振動型の高分子およびゲルを開発した。本研究では、自励振動型の高分子鎖やゲル微粒子をナノ振動子として基板上にグラフトあるいはアレイ化、またはゲルを微細加工し、自発的に生じる化学反応波の伝播と共に、蠕動運動・自律歩行や、表面に添加した微粒子や細胞等を自動的に輸送し集積化するようなメカニカル機能を創出する。とくにBZ反応の触媒であるRu(bpy)_3^<2+>の光感受性を考慮すると、リズムを制御する外部信号として光を利用することができる。さらにフォトクロミック部位を高分子鎖に導入すると、光照射によりゲルが収縮し、化学反応波の伝播方向を途中で曲げることも可能である。平成19年度は、このような光メカニカル機能創出に向けての運動制御手法の基礎的検討を行った。 Ru(bpy)_3^<2+>の光励起分子はBZ反応に新たな反応経路をもたらし、自己触媒反応を促進したり抑制したりする。このため、レーザー光を用いペースメーカー部位へ局所的に光照射するとその振動数が変化し、そこから派生する波列の波長が変化する。あるいはペースメーカーのサイズを変えることにより、化学反応波の波長を種々制御することかできる。ゲルの膨潤収縮振動の位相モードが波長に依存することを考慮すると、ゲルのマクロな体積振動を局所的な摂動によって制御することが可能となる。 自励振動ゲルを光制御可能な生体模倣アクチュエータへ応用するために、ゲル表面に微小な突起が数百個アレイ状に配列した「人工繊毛」、尺取り虫のように周期的な屈曲運動を繰り返しながら自ら歩くアクチュエータゲル(self-walking gel)が作製された。また、これら自励振動型の高分子鎖やゲル微粒子を基板上にグラフト、あるいはアレイ化することにより、化学反応波の伝播と共に表面に添加した微粒子や細胞等を輸送するナノ搬送システムなど、新しい機能性表面を構築することができると考えられる。さらに光照射によりペースメーカー部位を任意に設定し運動方向を制御することができる。
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Research Products
(14 results)