2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 亮 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80256495)
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Keywords | フォトクロミズム / 高分子ゲル / 振動反応 / 機能性表面 / アクチュエータ |
Research Abstract |
我々はこれまで、化学振動反応(BZ反応)を利用し、一定条件下で自発的に周期的リズム運動を行う新しい自励振動型の高分子およびゲルを開発した。本研究ではこの自励振動高分子にフォトクロミック部位を導入し、光異性化に伴う電荷量変化をコントロールすることでゲルの膨潤・収縮を制御し、かつ化学反応波の伝播方向制御を試みる。具体的には、光照射により収縮するようなフォトクロミック機能を自励振動ゲルに付与し、膨潤収縮振動の時空間制御を試みる。最終的には、輸送方向が時空間的に任意に制御可能な新しい物質輸送表面の実現を目指す。平成21年度は、スピロピラン残基を有する自励振動高分子の合成とともにそれを架橋したゲルを作製し、光応答性の評価を行った。従来の自励振動高分子に、光照射により開環-閉環異性化するスピロベンゾピラン(Sp)側鎖を導入した三元系高分子poly(NIP AAm-co-Ru(bpy)_3-co-Sp)を合成した。前期までに、HC1溶液中において光照射前後におけるLCST変化を調べ、強酸性環境下においてMcからSpへの光異性化に伴いLCSTが低温側にシフトすることを確認した。本年度前期ではさらに、Ru(bpy)_3を酸化および還元状態に保持した状態で暗所下および光照射下でのポリマー溶液透過率変化を測定した。酸化状態では還元状態よりLCSTが上昇すること、酸化・還元状態共に、光照射によりLCSTが低下することを確認した。この結果は、当初の指針通り自励振動の光照射によるon-off制御が可能であることを示している。実際ポリマー溶液においては、光照射により自励振動は停止し、光照射を止めると再び振動を開始することが確認された。これらの結果を踏まえ、本年度後期ではさらにゲル系への展開を試みた。自励振動ゲル膜を作製しフォトマスクを通じてパターン光照射を行った結果、表面にレリーフ上の収縮領域を作ることに成功した。さらに実際にBZ反応をゲル内部で起こし、光照射による収縮に伴う化学反応波の伝播挙動の変化について、時空間解析を行った。
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