2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80256495)
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Keywords | フォトクロミズム / 高分子ゲル / 振動反応 / 機能性表面 / アクチュエータ |
Research Abstract |
我々はこれまで、化学振動反応(BZ反応)を利用し、一定条件下で自発的に周期的リズム運動を行う新しい自励振動型の高分子およびゲルを開発した。本研究ではこの自励振動高分子にフォトクロミック部位を導入し、光異性化に伴う電荷量変化をコントロールすることでゲルの膨潤・収縮を制御し、かつ化学反応波の伝播方向制御を試みる。具体的には、光照射により収縮するようなフォトクロミック機能を自励振動ゲルに付与し、膨潤収縮振動の時空間制御を試みる。最終的には、輸送方向が時空間的に任意に制御可能な新しい物質輸送表面の実現を目指す。本年度は前年度に引き続き、BZ反応環境下でフォトクロミズムを発現させるための検討を行った。Poly(NIPAAm-co-Ru(bpy)_3-co-Sp)を化学架橋したゲルを作製し、酸化および還元状態における平衡膨潤度の温度依存性を測定するとともに、暗所下および光照射下における膨潤度変化を測定した。有意なゲルの蠕動運動振幅、および光照射による有意な収縮変化を得るための最適なゲル組成、溶液条件を探索した。この条件下でゲルをBZ反応基質混合溶液に浸し自励振動を生起させ、暗所下および光照射下での化学反応波の伝播挙動を解析した。化学反応波の伝播速度を各温度で測定した結果、18℃を境に低温側では温度上昇に伴い伝播速度が増加し、高温側では低下した。また、25℃以下では光照射の有無に関わらずゲル内部でBZ反応が起こるのに対し、27℃以上ではゲルが完全に収縮し基質の流入が強く抑制されるため反応が生起しなかった。26℃近傍では、光照射したゲルではBZ反応が確認されないのに対し、光非照射のゲルではBZ反応が生起しており、光によるon-offモードのスイッチングが可能であることがわかった。
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