2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解計測によるフォトクロミック反応ダイナミクスとメカニズムの解明
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050006
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40182000)
|
Keywords | フォトクロミズム / 環開閉反応 / フェムト秒分光 / 振動移送緩和 / 6π電子系 / 多光子反応 |
Research Abstract |
光吸収によって数ピコ秒(ps)から数10ps以内の時間領域で進行するフォトクロミック反応は、反応の時間原点を決定できるという特長を有するので、振動周期程度の時間分解能を持つ超高速レーザー分光を応用することによって、詳細な化学結合の開裂や生成挙動の実時間測定による解明が可能な化学反応系である。本年度は、ジアリールエテン誘導体の閉環体から開環体生成過程(開環反応)を支配する因子を探るため、アリール基の構造や溶媒極性効果ついて、フェムト秒レーザー分光、定常光を用いた光反応ダイナミクスの測定を行った。その結果、アリール基としては剛直な構造を持つ基を有する誘導体において、高い開環反応収率とともに大きな速度定数、また比較的長い分子内振動コヒーレンスが観測されることを見いだした。また開環、無輻射速度定数ともに、溶媒極性の増加とともに大きくなることを見出し、励起状態のポテンシャル曲面の概要を実験的に得ることができた。これらの励起状態ダイナミクスと電子状態、振動状態との相関をより直接的にさぐるため、非同軸型OPAを購入し、分子内振動の一周期以内程度の10フェムト秒(fs)の時間分解分光装置を構築した。この装置については基本的特性のデータを得て、次年度以降の研究に応用に備えた。既に、ジアリールエテン閉環体は、可視二光子吸収を行い高位励起状態が生成した場合には非常に(数10倍以上の収率)効率よく、開環反応を進行することを見いだしていたが、今年度はこの多光子開環反応について、フルギド誘導体への展開を行い6π電子系での一般性を確認するとともに、結晶や固体フィルム系における応用を行い、固定系への展開を行った。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Laser Photolysis Study on Photochromic Reactions of a Hexaarylbiimidazole Derivative.2007
Author(s)
Y. Satoh, Y. Ishibashi, S. Ito, Y. Nagasawa, H. Miyasaka, H. Chosrowjan, S. Taniguchi, N. Mataga, D. Kato, A. Kikuchi, J. Abe
-
Journal Title
J. Phy. Org. Chem. 20
Pages: 953-959
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-