2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解計測によるフォトクロミック反応ダイナミクスとメカニズムの解明
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050006
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (40182000)
|
Keywords | フォトクロミズム / フェムト秒ダイナミクス / コヒーレント振動 / 環開閉反応 / 多光子反応 / レーザー反応制御 |
Research Abstract |
フォトクロミック分子系であるジアリールエテンやフルギド誘導体を対象に、(1) 既存の<30フェムト秒時間分解分光装置による分子内振動のコヒーレンスや振動数の変化、その電子状態との相関の解明および、(2) ピコ秒時間分解分光装置によって誘起された段階的な可視二光子吸収過程による高効率開環反応の機構解明を行った。(1) については、可視一光子励起によって生成する閉環体励起状態の過渡吸収の減衰に、開環反応収率の大きな系では結合切断に関与する分子運動を強く示唆する周波数60cm^<-1>程度の大振幅振動が観測されること、一方反応収量の小さな系では、この大振幅振動の位相緩和時間が非常に短いことが確認された。(2) に関しては、二光子反応の促進・抑制に関与する電子励起状態、分子内振動を特定するために、10種類程度の置換基の異なる(開環反応収率が異なる)ジアリールエテン誘導体を用いて、ピコ秒・フェムト秒時間分解分光測定を行った。これらのジアリールェテン誘導体は全て、ピコ秒532nmパルスによって段階的二光子吸収過程が誘起され、二光子励起で到達できる高位励起状態を経由した効率の良い開環反応が進行した。また最低励起状態で高い反応収率を持っ誘導体は、高位励起状態では比較的低い反応収率を持つのに対して、逆に低い一光子開環反応収率を持つ系では、高位励起状態において高い二光子開環反応収率を持つことがわかった。光学遷移の選択律を含め理論的な研究を含めて詳細を理論的に検討する必要はあるが、二光子吸収によって生成する電子状態が反応スイッチングに重要な因子となることを示す結果が得られた
|
Research Products
(8 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Ultrafast Photodissociation Dynamics of a Hexaarylbiimidazole Derivative with Pyrenyl Groups : Dispersive Reaction from Femtosecond to Ten Nanosecond Time Regions2009
Author(s)
H.Miyasaka, Y.Satoh, Y.Ishibashi, S.Ito, Y.Nagasawa, S.Taniguchi, H.Chosrowjan, N.Mataga, D.Kato, A.Kikuchi, J.Abe
-
Journal Title
J.Am.Chem.Soc. 131
Pages: 7256-7263
Peer Reviewed
-
-
-