2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解計測によるフォトクロミック反応ダイナミクスとメカニズムの解明
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40182000)
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Keywords | フォトクロミズム / フェムト秒ダイナミクス / コヒーレント振動 / 環開閉反応 / 多光子反応 / レーザー反応制御 |
Research Abstract |
フォトクロミック分子系であるジアリールエテンやフルギド誘導体を対象に、1.30フェムト秒時間分解分光装置による分子内振動のコヒーレンスや振動数の変化、その電子状態との相関の解明および、2.レーザー誘起多光子吸収過程による反応の機構解明を行った。1.については、同様の基本化学構造を有する10種以上の化合物系に対してフェムト秒ダイナミクス、定常光反応収率、これらに対する温度効果の測定を行った結果、同旋的運動と考えられる低周波分子内振動の位相緩和の時定数が短くなるにつれて、開環反応収鼻は減少した。これらの結果から、反応に直接的にカップルした分子内振動の位相緩和が反応速度、収率に直接大きな影響を与えることが実験的に確認できた。2.に関しては、近赤外フェムト秒レーザー(1.28μm、パルス幅35fs)により、レーザー光強度、照射時間を変化させることで、非共鳴3光子閉環、2光子開環反応により環開閉反応が1波長で可逆的に制御できることを見出すとともに、レーザー光の空間プロファイルを利用して、サブμmのマスクレスパターニングに応用できることを示した。また、ピコ秒可視レーザーによる逐次二光子吸収により高い励起状態が生成した場合、最低励起状態で高い反応収率を持つ誘導体は、高位励起状態では比較的低い反応収率を持つのに対して、逆に低い一光子開環反応収率を持つ系では、高位励起状態において高い二光子開環反応収率を持つことの一般性を確認した。これらの結果と昨年度までの結果を総括し今後の研究の方向としての課題を決定した。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] One-Color Reversible Control of Photochromic Reactions in a Diarylethene Derivative : Three-photon Cyclization and Two-Photon Cycloreversion by Near IR Femtosecond Laser Pulse at 1.28 μm.2011
Author(s)
K.Mori, Y.Ishibashi, H.Matsuda, S.Ito, Y.Nagasawa, H.Nakagawa, K.Uchida, S.Yokojima, S.Nakamura, M.Irie, H.Miyasaka
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Journal Title
J.Am.Chem.Soc.
Volume: 133
Pages: 2621-2625
Peer Reviewed
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