2010 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック薄膜表面におけるメカニカル機能の解明
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050007
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
辻岡 強 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30346225)
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Keywords | フォトクロミズム / 金属蒸着 / 表面物性 / 高分子 / ガラス転移 |
Research Abstract |
ジアリールエテン(DAE)の示すメタル蒸着選択性は、光異性化に伴うアモルファス状態のガラス転移点(Tg)の変化と関連していることが分っている。従って同じDAE分子種であっても表面分子運動状態が不活性な結晶表面においては、Mgなどメタルは蒸着しやすい。これらは、蒸着選択性の発現はアモルファス状態に限定されるということを示唆しているが、今回同じDAE分子の結晶表面においても発現可能であることが判明した。アモルファス状態では消色表面にMgが堆積せず、着色表面には堆積する。しかし結晶表面ではこの堆積性が変化し、消色状態では堆積し、UV照射によって得られた半着色状態で堆積しなくなる。さらに異性化が進んで光定常状態になると再び堆積するようになった。これは光反応により表面にサイズの異なる異性化分子が出来たため結晶格子が乱れ、表面が軟化したためである事がAFM-フォースカーブによって示された。またこの方法を用いてマスク蒸着法では不可能な結晶表面への微細Mgパターン形成にも成功した。 また、本テーマから派生した研究として、低Tgポリマー表面への金属種の選択的蒸着の可能性を調べた。その結果、ポリジメチルシロキサンを用いることにより、従来DAEで蒸着選択性が確認できているZn、Mg、Mnに加え、Ca、Al、In、Pb、Sn、Ga、Geなど広範囲の金属で選択的蒸着が実現できた。この現象を用いて有機ELの電極パターニングや鉛ヒューズの作成を行い、エレクトロニクスを含む幅広い産業分野への応用の可能性を示した。
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