2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050011
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 二朗 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 准教授 (70211703)
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Keywords | HABI / 有機ラジカル / 高速消色反応 / ラジカル解離 / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)は紫外光照射により二つのイミダゾール環を結合しているC,N結合が均等開裂し、着色種であるローフィルラジカル2分子を生成する。ローフィルラジカルはフリーラジカルとして媒体中に散逸してしまうが、二つのイミダゾール環をナフタレンの1位と8位に配したラジカル散逸抑制型HABIでは、ローフィルラジカルの媒体中への散逸が抑制され、ラジカル再結合反応の迅速化と繰り返し特性の向上が可能となる。平成19年度には、新規ラジカル散逸抑制型HABIを合成し、そのフォトクロミック特性の検討を行った。ナフタレンの1位と8位にそれぞれ異なる種類の芳香環を導入することで、異なる2種類のローフィルラジカルからなるイミダゾールヘテロニ量体の生成を可能とする。ラジカル散逸型HABIでは、イミダソールヘテロニ量体の光解離反応によってホモニ量体との混合物になってしまうが、ラジカル散逸抑制型HABIではフォトクロミック反応を繰り返してもヘテロニ量体が維持されることになる。また、それぞれのローフィルラジカルが異なる波長領域の光を吸収するラジカル散逸抑制型ヘテロHABIを構築することで、可視光全領域に吸収帯を有するフォトクロミック系を創製することが可能となる。今回新たに合成した 1,8-NDPI-TPI-naphthaleneでは、光生成種であるビラジカルは400 nmから1000 nmに及ぶ幅広い吸収帯を有し、室温トルエン溶液における半減期は260ミリ秒にまで短縮された。このように、本研究ではラジカル散逸抑制機能を組み込んだ新世代HABIの創出に成功し、従来のラジカル散逸型では不可能だった高速熱消色反応を実現するに至った。次年度以降は、高速熱消色反応が活躍するスマートウィンドウや、実時間ホログラフィーなどの応用分野の研究を積極的に推進する。
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Research Products
(8 results)