2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
19050013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
玉置 信之 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00344218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 陽久 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 研究員 (80356352)
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Keywords | アゾベンゼン / 分子機械 / 光駆動 / 高分子 / 面不斉 / モータータンパク |
Research Abstract |
キネシン/微小管系は、ATPの化学エネルギーを使って細胞内での物質移動を行うリニアモーター蛋白の一つである。本系の運動を人為的に望みの場所と時間で繰り返し制御するために、フォトクロミック分子表面の影響を調べた。ガラス基板表面に、末端にリジンを導入したアゾベンゼンの単分子膜を設け、その上にモーター蛋白であるキネシンを吸着してATPによる微小管の移動速度を蛍光顕微鏡観察により調べた。その結果、アゾベンゼンがトランス体の時に比べてシス体リッチの時のほうが、移動速度が約15%速くなった。その変化は、366nm光と>500nm光を照射することにより繰り返された。また、単分子膜表面の接触角測定により、トランス体表面に比べてシス体リッチ表面のほうがより疎水的であり、この接触角変化も上記の光照射により繰り返されることがわかった。さらに、単分子膜表面に対する微小管の親和性を測定したところ、トランス体表面に比べてシス体リッチ表面のほうが親和性が低く、この変化も光照射によりある程度繰り返されることが判明した。以上の結果より、基板表面の性質の変化によるキネシンの活性、もしくは微小管との親和性による微小管をつなぎとめるブレーキ特性の変化の2つの機構の可能性が示唆された。 トランス体では分子内回転運動を示さず面性不斉による鏡像異性体が安定で、シス体でのみ分子内回転運動を起こしてラセミ化する新規単環型キラルアゾベンゼン(ベンゼンローター型)を合成した。この化合物を用いることで、円偏光によってラセミ体から一方の鏡像異性体を増やす逆ラセミ化を繰り返し起こすことが可能と考えられた。このラセミ体に、左右の円偏光を照射することより、一方の鏡像異性体を繰り返し増やすことに成功した。解析の結果、トランス体とシス体の両異性体の円偏光二色性が、得られた鏡像異性体過剰に寄与していることが定量的に示された。
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Research Products
(4 results)