2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
19051009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野末 泰夫 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (60125630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 岳仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50362611)
荒木 新吾 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90362615)
五十嵐 睦夫 大阪大学, 群馬工業高等専門学校, 准教授 (60259819)
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Keywords | アルカリ金属クラスター / 強磁性 / フェリ磁性 / ゼオライト / 強相関電子系 / 中性子回折 / μSR / NMR |
Research Abstract |
多孔質結晶のゼオライトのナノ細孔にアルカリ金属を吸蔵させると,金属クラスターを3次元的に配列させることができる。ゼオライトの一種ソーダライトにNaクラスターを体心立方構造で配列した系で観測される反強磁性について,XバンドのESR測定を行ったところ,反強磁性共鳴が観測された。その共鳴スペクトル形状から,この系はきわめて異方性の小さいことがわかり,ほぼ理想的なハイゼンベルグ型の反強磁性体であることが判明した。次にFAU構造(二重ダイヤモンド構造)を有するゼオライトLSXにおいて,Na-K合金クラスターを作成した。この系は常圧でフェリ磁性を示す。これに圧入法によりさらに金属カリウムをドーピングしたところ,再び自発磁性が観測された。その性質はNaイオン数によって顕著に変化した。これらの性質をスーパーケージの幅の狭いバンドにフェルミエネルギーがありその磁気モーメントと,βケージの局在準位による磁気モーメントのふたつの非等価な磁気副格子を考え,その間の反強磁性相互作用によるフェリ磁性で説明した。次に,KクラスターがゼオライトA中に単純立方構造で配列した系でDCミュオンによるμSR測定を行ったところ,約200 Oeの磁場に相当する非常に速い緩和を見いだした。これをスピンキャントした磁気モーメントとのフェルミコンタクトによるものと解釈した。さらに非常に弱い磁場でデカップリングする現象を見いだした。この現象と磁化過程とを比較し,上記のピンキャントモデルで説明可能であることを示した。さらにRbクラスターがゼオライトA中に配列した系においてμSR測定を行った。磁化測定で予測された自発磁化が内部磁場の増大として明確に確認された。しかし,Kクラスターで観測されたような高速緩和現象は見いだされなかった。これは,RbクラスターではKと異なる機構で自発磁化が発生していることを明示している。
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