2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
19051015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤 博 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50215901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 忍 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40360838)
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Keywords | 放射光X線回折 / 単結晶構造解析 / 粉末X線回折 / 粉末構造決定 / 配列ナノ空間物質 / 金属内包フラーレン |
Research Abstract |
特定領域で創製される配列ナノ空間を有する新物質を対象に、最新の放射光X線散乱実験技術を駆使してその精密構造を決定し、構造的観点から新物質相の電子状態と量子物性の発現機構を明らかにすることを目的として、精密測定を目指した電子密度解析を行ってきた。放射光X線回折実験はSPring-8において、粉末測定はBLO2B2、単結晶測定はBLO2B1の各々のビームラインで行った。 今年度は、昨年度実現したベンチャー企業/東北大学との共同研究により金属内包C60の内包証明に続けて、更に結晶の対称性が高く応用的な観点からも価値が高いと期待される新しい組成比の塩について測定を行なった。温度依存性の測定から,内包していないC60と同様の回転が凍結する相転移現象を見出した.電場応答など外場に対して内包されたLiイオンがどのように振る舞うかなどについて,電場を印加しながらX線回折を行うことができる装置を組み立て,予備的な実験を行った. 一方、粉末回折測定では領域内との共同研究により、クラスレート化合物におけるラットリングと熱電特性の関係を系統的に調べた。この系のゲスト原子の運動は,ケージ骨格にも影響を及ぼしていることが分かり、電気伝導性と熱伝導特性は切り離して考えるのではなく相補に協力し合う形での物性発現が明らかとなった。この結果は,共同研究を行っている広島大学のグループのラマン散乱実験の結果とよく一致していることがわかった.すなわち,内包しているゲスト原子のラットリング運動が,ケージ中心に位置するのか,中心位置からずれたところで運動するのかは,熱伝導度と直接関係するのではなく,このゲスト原子の運動に対して骨格のケージに特定のモードが誘起されることで,熱伝導が変化することが明らかとなり,今後の物質探索に方向性を与えた.
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Research Products
(7 results)