2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
19051016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80332592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草部 浩一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (10262164)
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209700)
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Keywords | 物性理論 / ナノ材料 / 量子閉じ込め / 低温物性 |
Research Abstract |
(1)アルカリ金属を吸蔵したゼオライトLTAの強磁性発現機構の理解のため、この物質における電子相関の強さの定量評価を第一原理的に行った。この系のフェルミ面近傍の電子状態は、ゼオライト骨格に閉じ込められた「超原子」状態であるが、この状態のHubbard Uの見積もりを第一原理的に行ったところ、バンド幅に匹敵するサイズになることがわかった。ゼオライトLTAのフェルミ面近傍の状態はアルカリ金属のs軌道によって構成されるが、d電子によって構成される遷移金属化合物なみの強相関領域にあることがわかった。 (2)本特定領域内で発見された芳香族超伝導体の研究を行った。結晶ピセンに続いて、コロネンでも超伝導の発見が報告されたので両者の電子状態を第一原理計算によってもとめその類似性と相違点を議論した。また、アルカリ金属を急増した場合についての結晶構造が実験的によくわかっていないことから構造最適化を行って構造の解明に取り組んだ。また、ゼオライト系同様、フェルミ面近傍の低エネルギー状態を表現する有効模型を構築し、転移温度とパラメータの値の関係について考察を行った。その結果、芳香族超伝導値は強相関系であるが、電子相関が強いと超伝導転移温度は低くなる傾向があることを見いだした。 (3)本特定領域内で研究が進んだゼオライト鋳型炭素の第一原理電子状態計算を行った。この系では負の曲率をもつ炭素ネットワークのあちこちに大きな穴が空いている。この穴のまわりに興味深い橋状態が形成され、それが系に興味深い磁気的性質をもたらし得ることがわかった。 (4)密度汎関数理論の拡張で超伝導状態を記述する超伝導密度汎関数理論のコードを開発し、本特定領域の実験グループによって発見された層状窒化物超伝導体の解析を行った。その結果、この物質では非従来型の超伝導機構が働いている可能性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配列ナノ空間を有する物質について、実験グループと緊密に連携をとりながら実験結果の解析だけでなく新物性の予言、提言を行った。芳香族超伝導体の発見など、計画当初には想定しなかった事態にも柔軟に対応し、世界にさきがけてその電子状態の解明を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が最終年度である。
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