2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
19051017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金山 敏彦 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノ電子デバイス研究センター, 研究センター長 (70356799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 哲也 (独)産業技術総合研究所, ナノ電子デバイス研究センター, 研究チーム長 (40188248)
宮崎 剛英 (独)産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 主任研究員 (10212242)
内田 紀行 (独)産業技術総合研究所, ナノ電子デバイス研究センター, 特別研究員 (60400636)
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Keywords | 原子分子処理 / ナノ材料 / 超薄膜 / クラスター / シリコン / レーザアブレーション |
Research Abstract |
本研究は、シリコンの配列ナノ空間の内部に遷移金属原子を配置することにより、半導体物質を形成できること、および、その物質を用いて電界効果トランジスタ動作、即ち、外部電界による伝導度変調が行えることを実証することを目的とする。これまでに、シラン(SiH_4)ガス中で遷移金属をレーザアブレーションする方法で遷移金属内包シリコンクラスター(M@Si_n)を合成し、それを基板上に堆積することで、キャリア移動度が高い非晶質の半導体薄膜が形成できることが明らかになっている。今年度は、この遷移金属内包シリコンクラスターを単位構造とする半導体薄膜の電気的・光学的特性を制御する指針を得ることと、電界効果による伝導度変調の実証を目標に研究を行った。レーザアブレーション条件を制御することで、M@Si_n(M=Mo,Zr,W,n≧10)を単位構造としたSi薄膜を合成する条件を確立し、それらが、1MΩ以上の抵抗率、1.3-1.8eVの光学ギャップを持つ半導体であることを明らかにした。また、M@Si_n膜のラマン散乱分光測定の結果、熱処理温度の上昇に伴って、Siネットワークの短距離秩序が向上し、抵抗率と光学ギャップが増大すること、局所的にM@Si_n構造を形成することで熱的な安定性を獲得し、非晶質Siよりも高い結晶化温度を持つことを発見した。さらに、M@Si_n膜をチャネルにしたバックゲート構造の薄膜トランジスタを試作し、ゲート電極の電圧印加により伝導度変調が行えることを実証した。 第一原理計算によるM@Si_n膜の解析を行い、a)M@Si_n膜のエネルギーギャップ等の電子状態評価、b)原子構造、c)振動状態の非晶質Siとの比較、d)M@Si_nの凝集に伴う電荷分布の変化、について調べた。その結果、XPSスペクトルの化学シフトやラマンスペクトルの形状が、M@Si_n膜特有の性質を反映していることが判明した。
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