2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有馬 孝尚 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授 (90232066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 幸男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80127274)
石原 純夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30292262)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁気記録 / 磁性 / 低温物性 / 強誘電体物性 |
Research Abstract |
[サイクロイドと強誘電性]磁気秩序と強誘電性を同時に示すRMn_2O_5では、電気分極発現機構がいまだ明らかになっていない。TmMn_2O_5の5K以下の低温不整合磁性相でc軸方向の磁場を印加すると、斜方晶のa軸方向を向いている電気分極が、b軸方向へと90度回転することを発見した。さらに、スピン偏極中性子散乱によって、秩序化している磁気モーメントのb軸成分がb軸に電気分極を持つ相でのみ大きいことも分かった。これらの実験事実からこの相における電気分極発現機構がサイクロイド型磁気秩序によるものであり、分極回転はスピン回転面がac面からbc面へと回転することに起因すると考えられる。 また、前年度までにサイクロイドへの斜め磁場成分によって電気分極が90度回転する方向が支配されていることを明らかにしてきた。今年度は、ある方向に磁場を印加した場合に、TbMnO_3とDyMnO_3では電気分極の回転方向が逆であることを発見した。この結果はサイクロイド磁気秩序の90度磁壁の厚みの違いによるものと考えられる。このモデルは90度回転と同時に生じる誘電率の増大がDyMnO_3では大きくTbMnO_3では小さいことともつじつまがあう。 [理論研究]ダイマーモット絶縁体領域にある分子導体では、低温で比較的大きな誘電異常が観測されている。このような系の誘電応答について有効模型を構築しこれを数値計算により解析を行うことで、あるパラメータ領域でダイマー内部の電子の移動が協調的に生じて誘電率が大きくなる領域が存在することを見出した。
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