2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常次 宏一 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (80197748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 教授 (00202218)
藤本 聡 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10263063)
花咲 徳亮 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70292761)
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 准教授 (70362431)
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Keywords | 物性実験 / 物性理論 / フラストレート系 / 磁性 / 量子伝導 |
Research Abstract |
理論的成果として、飽和磁場近傍のフラストレートした2、3次元量子スピン系における有限領域に閉じ込められたマグノンが結晶化する有限温度相転移の存在および縮退した基底状態と相転移の普遍クラスを明らかにするとともに、1次元ジグザグ鎖のスピン系の基底状態としてエネルギーギャップのある三量体秩序を発見した。さらに異方的三角格子におけるリエントラントな金属絶縁体転移と磁気相関の関係を調べた。また、カイラリティー揺らぎがスピン揺らぎと結合した場合の伝導電子への影響について研究を行い、スピン揺らぎ単独の場合よりもさらに異常な量子臨界的振る舞いが出現する可能性が明らかになりつつある。 実験的成果としては、スピン2の三角格子伝導体Ag_2MnO_2の合成に初めて成功してさらに80Kに特異な相転移があることを発見し、磁気的性質を考察して古典XYスピン系で予想されるカイラリティー転移の可能性を指摘した。スピン1の三角格子NiGa_2S_4については、低温のスピン凍結と臨界的なスピンダイナミックスの存在を明らかにした。電子相関の強い低次元的遷移金属化合物ではRMn_4Al_8,RCo_9Si_4の研究を行い、カルコゲン化合物の物質・物性探究をするとともに、Mo_3Sb_7における新たな構造転移を見出した。さらに、交差物性として熱電効果を研究し、Nd_2Mo_2O_7においてネルンスト係数の異常な符号反転を低温で観測し、ペルチェ効果と異常ホール効果の測定によってカイラリティーが原因となっていることを明らかにした。フラストレート近藤格子系Pr_2Ir_2O_7では低温のスピンアイス的相関の発達に付随する異常ホール効果の増大とヒステリシス出現という新現象を発見した。
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