2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常次 宏一 東京大学, 物性研究所, 教授 (80197748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 准教授 (70362431)
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 教授 (00202218)
藤本 聡 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10263063)
花咲 徳亮 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70292761)
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Keywords | 物性実験 / 物性理論 / フラストレート系 / 磁性 / 量子伝導 |
Research Abstract |
理論面では、クラスター動的平均場法を用いた三角格子およびカゴメ格子ハバード模型のモット転移の研究を行い、臨界終点近傍における光学伝導度の計算に成功した。その結果を用いて転移点近傍の準粒子ダイナミクスのスケーリングの詳細な解析に着手した。また、局在スピン系のスピン流ホール効果に関する理論解析を進めて反強磁性体CuB_2O_4の実験結果の検討を行い、観測実証の強い示唆を得るとともに、無散逸ホール効果を示す新たな微視的モデルの研究を進めた。 実験面ではまず純良結晶合成と新物質探索を継続し、強相関遍歴電子系として星型四面体を内包する多数のηカーバイド型化合物の研究により、多様な相やメタ磁性を見出すとともに、歪み誘起型の相分離を示す相関電子クラスター化合物を新たに開拓した。さらに、パイロクロア格子構造金属間化合物YMn_2Zn_<20>が遍歴電子磁性体であることを発見し、(Y,Sc)Mn_2やLiV_2O_4と同様なフラストレーションに起因する伝導電子の著しい有効質量増大の可能性を見出した。 量子臨界点に関しては、β-YbAlB_4の純良単結晶の精密磁気測定から、この物質の量子臨界点が金属では初めて実質的に零磁場に存在することを発見し、量子臨界相あるいは金属におけるスピン液体相の可能性を指摘した。また、三角格子反強磁性体NiGa_2S_4における新奇な磁性を中性子および光電子分光実験により明らかにした。電荷フラストレーションに関しては、有機三角格子系(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4において、共存する2倍周期と3倍周期電荷秩序の競合により非線形伝導効果が引き起こされることをX線回折の実験から実証した。また、希土類金属間化合物GdNiC_2の強磁場下相転移において、超格子の波数が逐次的に変化することを発見した。
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