2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 年史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80207183)
吉野 元 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50335337)
萩原 亮 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70198654)
出口 博之 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30192206)
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Keywords | フラストレーション / カイラリティ / フラストレート磁性 / スピングラス / カイラルグラス / 超伝導セラミックス / 異常ホール効果 / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
フラストレート系におけるカイラリティ秩序化の理論的・実験的研究を、スピングラス、高温超伝導セラミックス、パイロクロア磁性体等を対象に展開した。本研究の中心テーマと位置つげているスピングラスに対しては、近年議論のある「スピン-カイラリティ分離」の有無を明確にすべく、スピングラス系の標準モデルである3次元のガウス型ハイゼンベルグスピングラスについて、過去の計算を凌駕する大規模数値シミュレーションを行った。その結果、この系でスピングラス秩序化がカイラルグラス秩序化より少なくとも15%程度低温で起きていること、すなわちスピンーカイラリティ分離現象が実際に起きていることを理論的に明らかにした。実験面からは一連のカイニカルスピングラス系に対し、カイラリティ秩序のプローブとして提案されているホール係数を、磁気異性性の強さをコントロールしつつ精密測定した。その結果、理論で予想されている異方性依存症と調和的な結果を得、ホール係数が確かにカイラル帯磁率に対応する量であることを示す実験的証拠を得た。スピングラス系と類似のカイラルグラス相は、.グラニュラー超伝導体である高温超伝導セラミックスでも期待されている。本年度、新たに合成した高品質セラミックス試料を用いた高感度の電流・電圧測定を行い、磁気測定から定めたカイラルグラス転移温度で線形電気抵抗が有限に残ることを明らかにすることに成功した。これは、超伝導セラミックス系においてスピン(位相)とカイラリティ(フラックス)が分離していることを示す。その他、金属パイロクロア磁性や異方ジョセフィン結合系等、カイラリティが関連した秩序化現象に対し、有用な理論的・実験的知見を得ることに成功した。
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Research Products
(9 results)