2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 年史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80207183)
吉野 元 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50335337)
萩原 亮 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70198654)
出口 博之 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30192206)
小野田 繁樹 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (70455335)
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Keywords | フラストレーション / カイラリティ / フラストレート磁性 / スピングラス / カイラルグラス / 超伝導セラミックス / 異常ホール効果 / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
カイラリティとは、秩序状態の構造が局所的に右手系か左手系かを表す自由度として定義される。固体・統計物理の分野でも、フラストレート系研究の急速な進展に伴い、フラストレーションの効果がしばしばカイラリティ自由度を誘起すること、かつ生起されたカイラリティが系の諸物性に新奇な効果を及ぼすことが明らかになってきた。22年度は、カイラリティ秩序の理論面に関しては、長距離相互作用を有する1次元のハイゼンベルグスピングラスの大規模数値シミユレーションを行い、転移がスピン-カイラリティ分離を伴う場合と伴わない場合の双方が、次元に相当するパラメータにどのように依存するかを系統的に明らかにし、系の包括的な相図を得ることに成功した。また、典型的な幾何学的フラストレート系として注目されているパイロクロア格子上の反強磁性ハイゼンベルグモデルに関しても、今回、反強磁性相互作用をランダムに分布させることにより、スピングラスと同様のスピン-カイラリティ分離現象を見出した。また臨界性質の解析も合わせておこない、先に3次元ハイゼンベルグスピングラスモデルに見出した臨界指数と誤差範囲で一致する値を得た。実験面からは、様々なタイプのカノニカル・スピングラースの臨界指数を系統的に測定・解析し、カノニカル・スピングラスの場合、磁気異方法の強さに依らない普遍的な臨界指数値が実現していることを明らかにした。これはスピングラスのカイラリティ機構の理論と調和的な結果である。
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Research Products
(19 results)