2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Frustration and Chirality
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
KAWAMURA Hikaru Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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Project Period (FY) |
2007 – 2011
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Keywords | フラストレーション / カイラリティ / フラストレート磁性 / スピングラス |
Research Abstract |
カイラリティ(キラリティ)とは、秩序状態の構造が局所的に右手系か左手系かを表す自由度として定義され、特に化学の分野では分子の立体異性体(光学異性体)の問題と関連して古くより大きな関心を集めてきた量である。固体・統計物理の分野でも、フラストレート系研究の急速な進展に伴い、フラストレーションの効果がしばしばカイラリティ自由度を誘起すること、かつ生起されたカイラリティが系の諸物性に新奇な効果を及ぼすことが明らかになってきた。代表的なカイラリティとして、磁性体を舞台としたスピンカイラリティがあげられる。3角格子やパイロクロア等の幾何学的フラストレート磁性体、フラストレートしたランダム磁性体であるスピングラス等で、カイラリティが出現し重要な役割を演じる。磁性体以外でも、例えば粒状の超伝導体がジョセフソン・ネットワークを形成する超伝導セラミックスでは、超伝導の位相自由度に伴うカイラリティが発現する。本研究では磁性体のスピンカイラリティを主眼としつつも、より広範な系のカイラリティを研究対象とする。最近注目されているスピンカイラリティ起源の異常ホール効果やスピンカイラリティが誘起する磁気強誘電性のように、カイラリティ自由度が系の他の自由度とカップルすることによって新奇な物理現象を導く場合もあり、カイラリティの物性物理を一層豊富なものにしている。 本研究は、スピングラスやパイロクロア等のフラストレート磁性体および銅酸化物超伝導セラミックスを対象とし、数値的・理論的研究と実験的研究の有機的連携を進める。具体的には、1)スピングラス・3角格子反強磁性体・パイロクロア等のフラストレート磁性体のカイラリティの理論研究、2)ホール効果測定等によるカノニカルスピングラスAuFe, CuMnのカイラリティ秩序の実験研究、3)磁気的電気的測定等によるYBCO系超伝導カイラルグラスの実験研究を行う。数値シミュレーションを主とした数値・理論研究と、ホール測定・磁気電気測定・フラックス観察を主とした実験研究の有機的連携により、物性研究にカイラリティ・コンセプトに基づく新たな地平を拓くことを目指す。
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Research Products
(6 results)