Research Abstract |
ナノスコピックプラズマプロセス制御の各段階年次計画に基づき,以下の成果が得られた. 1.拡散プラズマCVDにおいて最適なCo触媒膜厚0.2nmを同定して上で,メタン・水素系反応性ガス圧力を増加させ(20~800Pa)また合成の基板温度を上昇させた(600~800℃)場合に,詳細なフォトルミネッセンス測定を行った結果、カイラリティ制御に関わる単独・孤立垂直配向単層カーボンナノチューブ(SWNT)の平均直径が太くなる(1.0~1.6nm)傾向を見出した. 2.拡散プラズマCVDによる高純度SWNT合成に関して,水素添加効果の解明により,金,白金,銀の非磁性金属触媒からのSWNTの成長に初めて成功し,従来の熱CVDに比べて低温,高速,高結晶性成長を実現し,前年度からの継続課題である"触媒の磯性金属が残留しない"スピン活用原子内包ナノチューブ(Fe@SWNT)の磁性半導体的物性研究を開始する準備を整えた. 3.イオン性プラズマを用いて創製された大気安定ナノpn接合ダイード特性を発現する(Cs/C_<60>)@SWNTと(Cs/I)@SWNTの詳細比較実験と解析に関し前者においては,後者において観測されたFET伝達特性上の山状特性曲線は観測されずに,低温ではキャリアが正孔と電子の場合で大きく異なるクーロンダイヤモンド特性が観測された.これはSWNTと電子ドナー,アクセプタ物質間の電荷移動率及び内包原子・分子サイズの違いにより内包物質がSWNTに与えるキャリア密度,すなわち空乏層構造に大きな違いが生じることで説明できた.このドーパント組み合わせの結果,(Cs/I)@SWNTは理想的なpnトンネルダイオード特性を発揮し,(Cs/C_<60>)@SWNTはキャリアの型に依存して異なる量子ドットサイズを有することが判明した. 4.室温動作の高性能負性微分抵抗特性を発現したフラーレン内包金属性二層ナノチューブ(DWNT)に関しては電流-電圧特性上の電流ピークを与える閾値電圧が内包されるフラーレンのサイズが大きく(バンドギャップが小さく,1.6→1.1eV)なるにつれて,C_<60>@DWNT,C_<70>@DWNT,C_<84>@DWNTの順に小さくなることが実験的に明らかにされた.一方,アザフラーレン内包のC_<59>N@DWNTはそのFETの室温動作において,紫外可視域光照射に対してコンダクタンスの急峻な低下として応答し,光スイッチング特性を発現することが初めて見出された. 5.原子または分子内包SWNT/DWNTと超伝導現象発現との関わりとしては,CaとSWNTの組み合わせに期待が持たれるものと考察し,Caプラズマイオン照射法によりCa@SWNTを創製し,その薄膜としての電気特性に注目しSWNTの金属-半導体分離技術を含めた予備実験を行った.
|