2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054002
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 晋 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押山 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143361)
大谷 実 産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究員 (50334040)
|
Keywords | ナノチューブ / 欠陥 / 内包物質 / ナノグラファイト / 光吸収 |
Research Abstract |
量子論に基づく全エネルギー計算の手法を用いて、ナノチューブ、フラーレンをはじめとする炭素ナノ構造物質群の物質設計と物性解明、ならびに実験的に合成がなされた新規な炭素ナノ構造物質の構造予測・物性解明を行った。まずCNTへの原子吸着のエネルギー論と吸着による電子構造変調の可能性を探索した。その結果、吸着金属原子、金属クラスタの吸着位置はチューブの曲率、カイラリティーに強く依存することを示した。次に、絶縁体表面に吸着されたCNTの電子構造とエネルギー論の探索を行い、絶縁体基板との微弱な相互作用により、CNTの第一、第2ファンホーベギャップが吸着により変調されること、さらに、安定吸着位置の表面位置依存性があることを示した。さらに、これまであまり注目されていなかった、紫外線領域におけるCNTの光吸収にたいする理論的解析を行い、この領域における光吸収に明確なCNTの曲率、カイラリティーに起因する構造が存在することを示し、その起源がグラフェンにおけるM点まわりのバンド間遷移であることをあきらかにした。この結果は、通常の低エネルギーの吸収スペクトル解析と併せることにより、より確実にCNTの幾何構造の決定を可能とする物である。また、本特定の実験グループとの共同研究として、フラーレン内包によるCNTの動径収縮モードの変調に対する解析をおこい、その変調がチューブ直径に強く依存することを示し、その起源がCNTとフラーレン間の弱い軌道混成によるものであることを解明した。最後に、ダイヤモンドナノワイヤーの表面が自発的に剥離しグラフェンナノ構造となることを理論的に示した。
|