2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 晋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押山 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143361)
大谷 実 産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究員 (50334040)
山本 貴博 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30408695)
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Keywords | ナノチューブ / 欠陥 / 内包物質 / ナノグラファイト / 光吸収 |
Research Abstract |
量子論に基づく全エネルギー計算の手法を用いて、ナノチューブ、フラーレンをはじめとする炭素ナノ構造物質群の物質設計と物性解明、ならびに実験的に合成がなされた新規な炭素ナノ構造物質の構造予測・物性解明を行った。内包空隙への異種物質挿入によるカーボンナノチューブ物性変調に関する研究として、カーボンナノチューブ内空隙にβカロテンが内包されたβカロテン内包ナノチューブの電子状態を明らかにした。その結果、ホストであるカーボンナノチューブの電子状態に応じて、βカロテンとカーボンナノチューブとの間の電荷移動が存在することが明らかになった。すなわち、金属的なナノチューブへのβカロテン内包の場合、βカロテンからナノチューブへの電荷移動が生じ、半導体チューブの場合、このような電荷移動が存在しないことをあきらかにした。また、ナノチューブへのフラーレン内包により、ナノチューブの振動スペクトルの変調が、ゲストであるフラーレンとホストであるナノチューブの間の相互作用によって系統的に理解できることを両者の間の相互作用を計算することにより明らかにした。つぎに、ナノスケールを有する炭素ネットワーク物質の新物質の設計として、C60フラーレンの新奇固体相である、C60ポリマー菱面体相へのアルカリ金属のインタカーレションの可能性を、エネルギー論の観点から明らかにした。前エネルギー計算の結果から、Na原子をそのポリマー層の間に挿入された、NaドープC60ポリマーはエネルギー的に安定であり、そのようなフラーレン固体化合物の合成の可能性があり得ることを示した。また、安定構造に対しての電子状態から、これらの化合物が金属であり、またその伝導特性がポリマー面に対して、鉛直、平行方向で著しく異なることを予言した。
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