2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 晋 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70302388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 貴博 東京理科大学, 工学部・第一部, 講師 (30408695)
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Keywords | ナノチューブ / 内包構造 / 金属基板 / 電子構造計算 / 複合構造 / 光吸収 |
Research Abstract |
量子論に基づく全エネルギー計算の手法を用いて、ナノチューブ、フラーレンをはじめとする炭素ナノ構造物質群の物質設計と物性解明、ならびに実験的に合成がなされた新規炭素ナノ構造物質の構造予測・物性解明を行った。CNT内空隙への異種物質挿入に関して、アザフラーレンと呼ばれる、C_<59>N内包CNTの電子構造計算を行い、バンド構造の外部電界への依存性を調べた。その結果、C_<59>N分子の最高半占有状態(SOMO状態)が電界印加に伴う電荷注入により速やかに高エネルギー側にシフトし、CNTの伝導帯に対して、浅いドナー状態として振る舞い、その結果としてCNTのn型伝導が発現することを明らかにした。さらに、この高エネルギーシフトはC_<59>分子のSOMO状態の高いクーロン反発エネルギーによるものであることを示し、これまで謎であった、アザフラーレン内包CNTのn型伝導機構の解釈を与えた。また、金属基板上に吸着されたCNTの詳細な局所電子状態の計算を行なった。その結果、CNTの電子構造は金属種に依存せず、その界面においてはある程度変調を受けることが明らかになった。また、非接触側のCNT壁においても、Pd,Pt等の金属基板状の影響が大きく残ることを示した。また、金属基板の存在は、CNTの伝導帯、荷電子帯のエネルギーレベルを空間的に湾曲させることが明らかになった。また、磁性金属内包CNTにおいて、CNTの吸収スペクトルの解析から、内包された金属鎖の磁性状態を決定できることを理論計算から明らかにした。すなわち、光吸収によって形成された1重項励起子が磁性原子のスピンと相互作用し3重項励起子となりその発光が観測されるというものである。また、欠陥を有するCNTにおいても、同様の励起子のスピン反転過程が実現され、本来光学不活性の3重項励起子の発光がみられることを理論的に明らかにした。
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