2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブフィールドエミッションデバイスの研究と開発
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 仁 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20293649)
安坂 幸師 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50361316)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出 / 電子源 / 電界放出顕微鏡 / 分子吸着 / メタン / エタン / 電界増強因子 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)電子エミッタの基礎特性の解明と高性能化に関して, 以下の成果を得た。 1. CNT表面への炭化水素ガス分子吸着の電子放出特性への効果 多層CNTに2種類の炭化水素ガス(メタン, エタン)を曝露し、電子放出特性への影響を電界放出顕微鏡法により調べた結果, どちらのガスもCNT表面に吸着することにより電子放出の増大が観察され, ラジカル分子やフラグメントが吸着しやすいことが示唆された。放出電流の増大率はどちらのガスも同程度であったが、その維持時間は, エタンの方がより長いことが分かった。これは, グラファイト上への吸着エネルギーがエタンの方が大きいために, CNT上により安定して長く吸着することによると考えられる。これらの結果は, 質量数の大きい、化学的に適当な不安定さを持つガス分子を吸着させることにより、高い放出電流や長い寿命のエミッタが得られることを示唆しており, さらに高い電界放出特性を持つエミッタを作製する指針が得られた。 2. CNTポイントエミッタの作製と電子源基礎特性の解明 電気泳動法および走査電子顕微鏡内でのマニピュレーションにより金属針先端に接着した単独CNT束あるいは孤立CNTからなる電子エミッタを作製し, その電子光学特性を計測した。その結果, 従来の単結晶タングステン冷陰極に比べて, これらのCNTポイント電子源は高い輝度を有することが明らかとなった。 3. 単一CNTからの電界放出のその場観察による電界増強因子の測定 透過電子顕微鏡内で、電極間距離0.05μmから14μmにおいて単一CNTからの電界放出の実験を行い, 電界増強因子の電極間距離依存性を明らかに, さらに電界計算を併用することにより, 電界増強因子を電極間距離、先端の曲率半径、CNTの長さの関数として表すことに成功した。
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