2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
篠原 久典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50132725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 良 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50394903)
宮田 耕充 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80547555)
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Keywords | カーボンナノチューブ / フラーレン / 薄膜トランジスタ / 電子物性 |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)内にフラーレンを始めとする様々な有機分子を内包したハイブリッド物質の創製と評価、またCNTの電界効果型トランジスタ(FET)応用を目指した金属・半導体の分離について中心的に研究を進めた。様々な有機分子の内包を検討した結果、特にコロネンやその二量体であるジコロニレン、およびチオフェンのオリゴマーであるセキシチオフェンについて90%以上の高収率で内包できること新たに見出した。これらのハイブリッド物質では、適切な加熱処理により内包分子のポリマー化が進行し、構造の均一なグラフェンナノリボンやポリチオフェンなどの一次元物質が生成することが分かった。これらの高分子を内包させることで、強い可視領域での吸収を利用した、CNTへの新たな光電変換機能の付加が期待される。また、トランジスタ応用に関する研究では、半導体CNTの純度評価、およびその効率的な分離法の開発を進めた。純度評価では、バルク試料を対象とした金属および半導体CNTのラマン強度の相対変化、単一CNTのラマンイメージングの統計的解析、短チャネルCNT-FETの特性評価より、通常の分離試料では、1%程度の金属CNTを不純物として含むことが分かった。この結果をもとに、より高純度の半導体CNTの回収を目指し、分離手法の改良に取り組んだ。特にゲルろ過を利用した分離において、分離時の分散剤の濃度・種類、溶出速度、使用CNTの濃度・長さなどの条件を検討してきた。この結果、特定の条件において金属と半導体CNTの溶出速度に大きな差が出ることが明らかとなった。この溶出速度差を利用することで、これまでは数10回の処理で得られていた高純度半導体CNT試料が、一回の操作で得ることが可能となった。今後、さらなる高純度化を行い、高速動作可能なCNTトランジスタの実現を目指す予定である。
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