2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノプローブ計測法によるカーボンナノチューブの電気・力学物性評価
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 啓文 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (40283626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 圭 京都大学, 産官学連携センター, 助教 (40335211)
佐藤 宣夫 京都大学, 工学研究科, 助教 (70397602)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 密度勾配遠心分離 / 誘電泳動 / 3次元フォースマップ / 表面電位計測 / AFMポテンショメトリー / 走査ゲート顕微鏡 / 高分解能マルチプローブ技術 |
Research Abstract |
ナノプローブ計測手法においては、高分解能測定に適した試料を作製することが、測定系の高感度化と同様に本質的に重要となる。本年度は、密度勾配遠心分離法により、界面活性剤でミセル化したSWNTから孤立SWNTを分離・抽出した溶液を用いて誘電泳動することで、2つの電極間(ギャップ長300nm)への1本〜少数の孤立SWNTの配置に成功した。さらに、誘電泳動後のトップコンタクト電極作製により、従来、誘電泳動デバイスにおいて生じる高接触抵抗の問題の解決に成功した。この誘電泳動を用いた孤立SWNTデバイス作製プロセスにより、SWNT単体としての電気特性評価が可能となった。一方、KFMにおける空間分解能低下の主な原因となっている静電的背景力を評価するため、自在にプログラム可能なFPGAベースの汎用コントローラにより、3次元フォースマップシステムを構築した。これにより、試料上空の任意の空間点において探針に働く静電的相互作用力の試料バイアス依存性測定を行って、背景力に対応した長距離力成分の検出が可能になる。また、S/N解析によりKFMの高分解能化について検討した。次に、局所的な外場効果を計測するため、これまでに開発した各点AFMポテンショメトリーを発展させ、新規手法の各点走査ゲート顕微鏡を開発した。この手法でSWNTチャネル部の単一欠陥の検出に成功し、これまでよりも高感度な局所的なゲート応答計測が可能となった。さらに、異なる領域に2本以上のプローブをアクセスできるマルチプローブAFM(MP-AFM)の開発を行った。測定モデル系として、CNTのように1次元伝導体として動作するポリジアセチレン結晶を用い、2本のプローブうちの片方を試料上の1点に接触させて電圧を加え、他方のプローブでKFM測定を行った結果、ジアセチレン鎖に沿って高い電位分布を示す、異方的な電位コントラストを得た。また、ペンタセン薄膜などの有機分子薄膜に対して、2つのプローブを可動電極として用いることで、局所的な電気特性を評価することに成功し、ナノスケール電気計測におけるMP-AFMの有効性の高さを示す結果を得た。
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Research Products
(8 results)