2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能性カーボンナノチューブを用いた量子ナノデバイスの開発
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054016
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石橋 幸治 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 主任研究員 (30211048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 勇一 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (60111366)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 配向成長 / 量子ドット / 単電子トランジスタ / ナノチューブリング / 走査トンネル顕微鏡 / トンネル分光 / 分子スケールナノデバイス |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ量子ナノデバイスの集積化技術の開発とその実証、およびカーボンナノチューブ・分子ヘテロ構造を用いたナノ構造を作製する技術の開発を行った。集積化技術に関しては、配向成長技術および他基板へ貼り付け技術の信頼性の向上をはかった。これにより、異なるナノチューブにそれぞれ作製した量子ドットを容量的に結合することで単電子メモリを作製するプロセスの開発をはじめた。メモリ動作の確認には至っていないが、プロセスの過程で、電子線描画が直接ナノチューブ上を走査しなくてもナノチューブにダメージを与えることが明らかになった。この方法で作成した単一量子ドット(単電子トランジスタ)では、はじめて電子殻構造を持つ人工原子的振る舞いが観測され、作製したナノチューブの高品質性を明らかにすることができた。これらの成果は、本技術が量子ナノデバイスの集積化に利用可能であることを示しており、研究の方向性が正しいことを示している。 カーボンナノチューブを用いた分子スケールナノ構造の例として、ナノチューブの両端を化学修飾し、その両端を化学結合(エステル結合)させることで、化学結合で結合したリング構造の作製に成功した。リング構造の電子状態を調べるために、分光測定が同時にできる走査トンネル顕微鏡を開発し、金属的なナノチューブがリング構造になることにより、バンドギャップが開くことをトンネル分光および吸収分光により確認することができた。開いたバンドギャップの絶対値は通常の半導体ナノチューブに比べてやや大きい値を示しているが、これはリング構造を形成しているために誘起されたひずみが原因であると思われる。本成果は、カーボンナノチューブのナノ構造を真の分子スケールナノデバイスへ発展させることを可能とする画期的成果である。
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