2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性カーボンナノチューブを用いた量子ナノデバイスの開発
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054016
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石橋 幸治 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 主任研究員 (30211048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 勇一 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (60111366)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 配向成長 / 量子ドット / 単電子トランジスタ / 走査トンネル顕微鏡 / 単電子トランジスタ / 分子スケールナノデバイス |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、カーボンナノチューブ量子ナノデバイスの集積化技術の開発とその実証、およびカーボンナノチューブ・分子ヘテロ構造を用いたナノ構造を作製する技術の開発を行った。集積化技術に関しては、配向成長技術および他基板へ貼り付け技術の信頼性の向上をはかった。これにより、異なるナノチューブにそれぞれ作製した量子ドットを容量的に結合することで単電子メモリを作製するプロセスの開発を行った。メモリ動作の確認には至っていないが、結合した量子ドットにおいて、一方のドットに電子が入ったことによると思われる信号をもう一方のドットで検出した。この方法で作成した単一量子ドット(単電子トランジスタ)では、はじめて電子殻構造を持つ人工原子的振る舞いに加え、電極との結合が弱いときに観測されるファブリーペロー干渉パターンもが観測され、作製したナノチューブの高品質性、本プロセスの再現性の向上を示すことができた。 カーボンナノチューブを用いた分子スケールナノ構造の例として、ナノチューブの両端を化学修飾し、それを介してコラーゲン分子をつけることを行った。コラーゲン分子とナノチューブの結合には、エステル結合とアミノ結合を用いた。走査トンネル顕微鏡を用いたナノチューブ内の状態密度を測定したところ、エステル結合で終端した場合には、放物線型ポテンシャルで閉じこめられた自由電子的な振る舞いが観測されたのに対し、アミノ結合で終端した場合には、ナノチューブの両端に局在した基底状態だけが観測された。このことから、分子による終端によりナノチューブのポテンシャルを人工的に設計できる可能性が示された。これは、分子スケールデバイスのために有効な技術である。
|