2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054017
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
末永 和知 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノカーボン研究センター, 研究チーム長 (00357253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雄太 産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, 研究員 (90392620)
岡崎 俊也 産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, 主任研究員 (90314054)
劉 崢 産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, 研究員 (80333904)
|
Keywords | 解析・評価 / 可視化 / 超精密計測 / 電子デバイス・機器 / 放射線,X線,粒子線 |
Research Abstract |
本研究は,高感度透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて「回位」,「空孔」,「吸着分子・原子」など機能性カーボンナノチューブ中に存在する多様な欠陥を検出・同定する手法を確立させると同時に,それらがナノチューブの輸送特性・分光学的特性など巨視的な性質に及ぼす影響を「その場」測定することを目的としている。 本年度は,C_60ピーポッドの内部および外壁上にドープされたセシウムイオン(Cs+)の動的挙動をTEMによって観察し,ピーポッド中の変形や欠陥部位がCs+イオンの配置や移動度に大きく影響することを実証した.この実験はナノチューブにおけるドーパントの影響が,電荷移動によるホールやキャリアの導入だけでなく,ナノチューブ構造自体の変形・ひずみなどにも及んでいることを示す重要な例である。この論文はSmall誌に受理された。またナノチューブ中の1〜2mm以上のサイズの原子空孔がJoule加熱により移動する様子が捉えられた。とくにインプットした電力量から温度を見積もると同時に個別の格子欠陥が移動することを初めて可視化した実験であり,ナノチューブデバイスへの格子欠陥の影響を調べる上で重要な一歩であるといえる。Nano Lett.誌に掲載された。 また内包カーボンナノチューブの構造と物性においては,測定実験用の高強度のチタンサファイアレーザーシステムを導入し,電子顕微鏡内での光学特性測定実験のための第1歩が準備できた。また分子吸着したカーボンナノチューブの光学特性についての実験を行った。C_60フラーレンを内包することによる単層カーボンナノチューブバンドギャップ変化を発光励起スペクトルから系統的に明らかにした。バンドギャップ変化は合理的にC_60内包によるSWCNTの局所歪みと内包されたC_60と外側のSWCNTの電子状態の混合によって説明できる。また金属フラーレンを内包するピーポッドを熱処理することによりLa金属ワイヤを合成することに成功した。この結果はJ.Am.Chem.Soc.誌に掲載された。
|