2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Tritium Science and Technology for Fusion Reactor |
Project/Area Number |
19055002
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
波多野 雄治 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (80218487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤丸 悟士 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助教 (10420324)
大矢 恭久 静岡大学, 理学部, 准教授 (80334291)
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
中村 博文 日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (20354615)
朝倉 大和 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00342642)
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Keywords | 核融合 / トリチウム / 水素 / 放射性同位体 / 放射線 / 同位体効果 / 透過 / 除染 |
Research Abstract |
核融合炉システムから作業環境および外部環境へのトリチウム (T) 漏洩を低減するため、高温材料中のT透過を抑制する技術の開発、および最も高濃度の汚染が懸念されるプラズマ対向材料のT蓄積・脱離機構解明と除染技術の開発に取り組んだ。 高温材料中のT透過抑制に関しては、大型複雑構造物への適用が可能な湿式法による透過抑制膜形成技術の高度化を進めた。すなわち、ゾルゲル法で形成したZrO_2被膜の成膜条件最適化を行い、膜厚を100~200nmに調整するとフェライト鋼使用想定温度(300~550℃)全域にわたり水素同位体透過速度を1/10^4に抑制できることを見出した。これは当初目標を一桁上回る値である。ZrO_2被膜中には結晶粒界等の欠陥による捕獲効果で比較的高濃度のT(~0.1%)が蓄積されたが、この程度の膜厚ではシステム全体のTインベントリーへの影響は小さいことが分かった。 加えて、プラズマ対向材料として有望なタングステン中のT蓄積を支配する、照射欠陥の水素同位体捕獲効果を詳細に調べた。その結果、400℃以上の高温領域では捕獲-脱捕獲の局所平衡が成立し捕獲サイト占有率が固溶水素同位体濃度に敏感に依存すること、強い捕獲サイトにおける水素同位体-欠陥結合エネルギーが1.4~1.5eV程度、脱捕獲の活性化エネルギーが2eV程度であることを明らかにした。これらの知見により、プラズマからの入射フラックスや水素同位体の表面反応速度等をパラメータとしたT蓄積量予測が可能となった。さらに、Tの脱離速度が捕獲-脱捕獲を伴う拡散過程により支配されること明らかにすると共に、単純な真空中での加熱処理と比べ、軽水素あるいは重水素雰囲気下で熱処理を行うとこれら水素同位体により捕獲サイトが占有されるためT除染効率が飛躍的に向上する事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリチウムの透過漏洩防止に関し、大型複雑構造物へ適用可能な湿式法にて、当初目標の1/1000を上回る1/10000の透過抑制能を有するZrO_2被膜を形成する手法を開発した。また、トリチウム汚染および除染に関しては、最も高濃度の汚染が懸念されるプラズマ対向材料中の水素同位体捕獲サイトについて結合エネルギーや脱捕獲活性化エネルギーを定量的に明らかにすると共に、単純な真空中での加熱に比べ、軽水素や重水素雰囲気下で加熱することで大幅に除染効率を向上できることを見出した。以上の成果を踏まえ、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本特定領域は平成23年度で終了した。今後は、本領域で基礎的知見の蓄積および要素技術の開発を進めた個々の課題について新たな研究資金を獲得し、実機核融合炉への適用に向けた研究(例えばトリチウム透過抑制膜の長期健全性試験や高線量中性子照射されたタングステン中のトリチウム捕獲機構の解明と除染技術開発など)を展開することを目指す。
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Research Products
(59 results)