2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子クラスターから細胞に至る分子認識系の光ダイナミクスと素過程解明
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 正明 東京工業大学, ソリューション研究機構, 教授 (60181319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 誠 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (60298172)
石内 俊一 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40338257)
橋本 健朗 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40202254)
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Keywords | レーザー蒸発法 / 液体噴霧法 / 超音速ジェット / 生体関連分子 / 質量分析 / 発光分析 / レーザー分光 |
Research Abstract |
平成23年度は、生体関連分子のスペクトル測定を進め、アドレナリン受容体タンパク質の基質結合部位のモデルペプチド分子や多くの生体関連難揮発性物質に対し超音速ジェットレーザー分光を実施した。共鳴多光子イオン化スペクトル、ホールバーニング分光、赤外分光法を適用し、理論計算による構造計算の支援を得ることで、これまで極めてフレキシブルと思われていたペプチド分子の構造が実際には水素結合によりほとんど一意に決定され、構造揺らぎがほとんど観測されないことを明らかとした。さらに、レーザーアブレーションのマトリクスの改良により測定データの質が劇的に向上した結果、基本アミノ酸であるチロシンについてもこれまでの研究では測定データの質の問題から見落とされていた異性体を新たに発見し、これまで発見されていたものも含めそのコンフォメーション分布を統一的に解釈することに成功した。 さらに、光励起過程における単一の水分子の溶媒再配向過程を実時間で追跡することに気相水和クラスターのピコ秒時間分解赤外分光法により初めて成功した。これまでの研究では、複数の配位環境の水分子からの信号が重なってしまい、それらを明確に区別することができていなかった。高次分子システムにおける反応制御は周辺の溶媒環境の制御まで含めて行われていると考えられるため、この結果はその過程を分子レベルで理解するために不可欠な情報であるといえる。 また、振動和周波発生赤外顕微分光法の改良も進め、赤外分光で主に対象となる5~10μmの波長領域へその適応領域を拡大した。これを生体試料である毛髪内部の観察に適用し、アミド振動の分布から赤外光の回折限界以下の大きさしかない毛髪内部の蛋白質構造分布を捉えることに初めて成功した。
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Research Products
(45 results)