2007 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーフォトンによる生体分子の修飾・代謝の計測
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
粟津 邦男 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30324817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20403157)
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Keywords | 低エネルギーフォトン / 蛋白質分析 / イオン化 / 赤外分光法 / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光と生体組織の相互作用を物理的および化学的両面から明らかにし、低工ネルギーフォトンを用いた高効率の選択反応および高精度な生体分子の制御・計測手法の確立である。平成19年度において、一つ目の課題として、赤外レーザーを用いた蛋白質分子のイオン化メカニズムの解明」を目指し、様々な分子振動を有する物質をマトリックスに用い、波長に対するイオン生成の関係を調査した。その結果、C=O伸縮振動など二重結合の分子共鳴波長に一致したレーザーを照射する事によりイオン化が促進される事を明らかにした。本成果は、学術論文誌(International Journal of Mass Spectrometry, IEEE journal of selected topics in quantum electronics)において掲載され、イオン化メカニズムの一考察として、二重結合を振動する事により、周りの水素結合が影響を受け、周辺の水分子中の水素が電子を奪われプロトン化し、蛋白質のイオン化に繋がる事を示した。また、電気泳動ゲルから酵素処理のプロセスを省いた新しいタンパク質分析法の検討として、電気泳動ゲルをマトリックスに用いたIR-MALDI法を検討した。その結果、電気泳動ゲルに含まれるアクリルアミドがマトリックスとして作用する事を示した。二つ目の課題として、赤外分光法を用いた新規計測手法の検討として、再生医療の移植細胞の分化過程を追跡する技術への適応を検討した。マウス間葉系幹細胞株Kusa-A1(Cell Bank、RIKEN BioResource Center)を用いて、骨芽細胞分化誘導後0〜7日目(1日毎)について、フーリエ変換型赤外分光光度計(顕微透過)にて赤外吸収スペクトル測定を行った。従来法として、アリザリンレッドS染色(カルシウムの染色法)およびo-cresolphthalein conplexone(o-CPC)法(カルシウムの比色定量法)も行い、赤外吸収スペクトルから得られるピーク比(1032cm^-1/1640cm^-1)との相関を検討した結果、R=0.9888 and 0.9778程度の良い正の相関を示した。
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