2008 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーフォトンによる生体分子の修飾・代謝の計測
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056003
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
粟津 邦男 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30324817)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20403157)
|
Keywords | 質量分析 / MALDI / イオン化メカニズム / 中赤外レーザー / CARS |
Research Abstract |
生命現象を総合的に理解するためには、蛋白質の発現の動態(細胞や組織内での局在、発現量、発現時系列など)を翻訳後修飾や蛋白質相互作用を含めて分子レベルで測定・制御する必要がある。生体分子はその分子間振動により中赤外波長域の光を強く吸収することが知られており、我々は、これまでの研究から測定困難であった細胞・蛋白質などの生体分子構造機能の選択的計測・制御に実績を挙げている。計測精度の向上および選択的制御など光計測制御の一般化には、光と生体分子と相互作用機序を明確にすることが必須である。本研究では、光と生体組織の相互作用を物理的および化学的両面から明らかにし、低エネルギーフォトンを用いた高効率の選択反応および高精度な生体分子の計測手法を確立する。今年度は以下の検討を行った。 1. 赤外レーザーMALDIの現象解明 赤外レーザーを用いたMALDI法において、イオン生成におけるプロトン起源と分子結合エネルギーとイオン化の関係を明らかにすることは、イオン化機序を理解する上で重要である。末端構造の異なる物質をマトリックスとして用い、イオン生成率を比較し、プロトンが分子構造または溶媒中のイオンに起因するのかどうかについて評価した。その結果、中赤外波長を用いたMALDIにおいて、カルボキシル基のC=0伸縮振動励起およびカルボキシル基周辺に存在する水素イオンの存在が効率的なイオン化に関与することが分かった。 2. 細胞分化の可視化 再生医療における幹細胞の分化過程を非標識かつ非侵襲的に評価できる技術の確立が望まれている。振動分光法は蛍光標識などを利用せずに化学情報を取得できる。超広帯域マルチプレックスCARSイメージングによる幹細胞および分化過程の可視化について検討を行った。未分化状態の間葉系幹細胞および分化誘導後の骨芽細胞のCARSイメージングに成功した。次年度は、分化過程の経時変化のイメージング取得について検討を進める。
|