2007 Fiscal Year Annual Research Report
気相溶媒和金属イオンの温度可変分光解析装置の開発と生体分子への応用
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056004
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
冨宅 喜代一 Kobe University, 理学研究科, 教授 (00111766)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 春樹 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80261551)
|
Keywords | クラスター / レーザー分光 / 温度可変分光 / イオントラップ / ペプチド / 超原子価ラジカル / 赤外分光 |
Research Abstract |
溶媒和クラスターは溶液化学の重要課題である揺らぎを分子レベルでアプローチする上で、格好の対象である。本研究では、この観点からレーザー分光法を用いたクラスターの構造と反応性の検討を進めている。平成19年度はバルク溶液で重要な揺らぎの検討を行うため、温度可変分光装置の改良を行うと共に、以下の研究を行った。 1.クラスターイオンの温度可変分光を行うため、22極子型のイオントラップを組み込んだ光解離分光装置の開発を進めている。本年度は、イオントラップの冷却能を向上させるため,He冷凍機とトラップの熱接触を改良して到達温度を21Kまで改善した。この装置を用いて、ペプチドの構造形成とプロトン電荷の関係を明らかにする目的で、Ala-TrpH^+とTrp-Gly H^+の紫外光解離スペクトルを検討した。また温度依存性を調べることにより異性化の糸口を見出した。さらに幾何構造を実験的に検討するため、メタノールが付加したプロトン化トリプトファンTrp H^+(CH_3OH)とジペプチドAla-TrpH^+(CH_3OH)の赤外光解離分光を行った。 2.光電子分光を用いたポリペプチドの構造異性化の研究を進めた。この結果、Ala四量体の負イオンについて、双極子結合状態を見出し、構造異性化の新たな知見を得た。 3.生体分子の化学反応の中間体として重要な超原子価ラジカル(NH_4)の生成過程と安定性および類似のオキソニウムラジカル(ROH_2)の安定性を調べるため、(NH_3)n(CH_30H)mの光解離で生成するラジカルのフェムト秒ポンプープローブ実験と、イオン化エネルギー測定による電子構造の検討を行った。 4.核酸塩基対のモデル化合物として知られている7・アザインドール二量体の基底状態プロトン移動反応を調べるため、互変異性体の赤外分光法を用いた検討を行った。
|