2008 Fiscal Year Annual Research Report
気相溶媒和金属イオンの温度可変分光解析装置の開発と生体分子への応用
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
冨宅 喜代一 Kobe University, 理学研究科, 教授 (00111766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 春樹 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80261551)
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Keywords | クラスター / レーザー分光 / 温度可変分光 / イオントラップ / ペプチド / 超原子価ラジカル / 赤外分光 |
Research Abstract |
溶媒和クラスターは溶液化学の重要課題である揺らぎを分子レベルでアプローチする上で、格好の対象である。本研究では、この観点からレーザー分光法を用いたクラスターの構造と反応性の検討を進めている。平成20年度はバルク溶液で重要な溶媒和構造と揺らぎの検討を行うため、以下の研究を行った。 1. クラスターイオンの温度可変分光を行うため、22極子型のイオントラップを組み込んだ光解離分光装置の開発を進めている。本年度は、分光装置の温度可変機構を改善した。この装置を用いて、ペプチドの構造形成とプロトン電荷の電子状態への影響を明らかにする目的で、Ala-Trp H^+とTrp-Gly H^+およびCH_3OHクラスターの紫外光解離スペクトルの検討を行った。また温度依存性と溶媒数依存性を調べることにより異性化が誘起されることを明らかにした。さらに溶媒付加によりTrpの電子励起状態の緩和機構が大きく変化することを見いだした。 2. 生体分子の化学反応の中間体として重要な超原子価ラジカル(NH_4)の生成過程と安定性を調べるため、(NH_3)_n(CH_3OH)_m中のラジカルの生成機構をフェムト秒ポンプープローブ実験と速度論解析により調べた。またジメチルおよびトリメチルアミンから生成するラジカルに拡張し、イオン化エネルギー測定による電子構造の検討を行った。 3. 核酸塩基対のモデル化合物である7-アザインドール二量体の基底状態陽子移動反応を調べるため、互変異性体と重水素化物の赤外分光とホールバーニング分光を詳細に検討した。
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