2009 Fiscal Year Annual Research Report
気相溶媒和金属イオンの温度可変分光解析装置の開発と生体分子への応用
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
冨宅 喜代一 Kobe University, 理学研究科, 教授 (00111766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 春樹 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80261551)
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Keywords | クラスター / 温度可変分光 / 溶媒和 / 7-アザインドール / プロトン移動 / 重水素置換 / アンモニウムラジカル / 生成ダイナミックス |
Research Abstract |
溶媒和クラスターは溶液化学の重要課題である揺らぎを分子レベルでアプローチする上で、格好の対象である。本研究では、この観点からレーザー分光法を用いたクラスターの構造と反応性の検討を進めている。平成21年度は以下の研究を行った。 1. 温度可変イオントラップ分光を用いた水和金属イオンの微視的溶媒和の研究 水和金属イオンの微視的溶媒和,特に構造揺らぎの分子論的理解を目指し,我々が開発してきた温度可変イオントラップ装置を用いた水和金属イオンの分光測定を行った。本研究では分光的情報が豊富である1価水和Mgイオンを対象として,電子遷移の測定から,温度と水和構造の検討を試みた。また,エレクトロスプレーイオン化による2価水和Mgイオンの生成方法の確立と生成した水和Mgイオンの赤外分光を行い,水和構造を検討した。 2. 7-アザインドール互変異性型二量体の基底状態二重プロトン移動反応の研究 赤外分光法を用いて7-アザインドール互変異性体の基底状態二重プロトン移動反応を検討した。その結果,NH伸縮バンドが非常にブロードであることが見出され,これはプロトン移動反応の反応障壁付近のポテンシャルの非調和性に由来する非常に高い振動準位密度を反映したものと結論した。重水素置換効果も検討し,NH伸縮振動からのエネルギーの流れを議論した。 3. 超原子価ラジカルのクラスター内での溶媒和構造と安定性 アンモニウムラジカル(NH_4)は、水素原子移動反応やポリアミドイオンの電子再結合過程の重要な反応中間体である。本研究では、実在系ポリアミドイオンの電子再結合過程と関連してアルキルアミン(NH_n(CH_3)_<4-n>)に注目し、イオン化エネルギーの測定と生成ダイナミックスの実時間観測を行い、アンモニアクラスター形成によるラジカルの電子構造への影響と溶媒和構造を検討した。
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