2008 Fiscal Year Annual Research Report
SFG分光法による有機および生体分子膜界面の電子振動状態の研究
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056007
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石橋 孝章 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (70232337)
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Keywords | 非線形分光 / 振動スペクトル / 電子スペクトル / 生体分子 / 界面 |
Research Abstract |
本年度は、キラルなポルフィリン会合体薄膜のキラルSFG分光を進展させ、振動SFGバンド強度の可視プローブ波長依存性を測定し、キラルSFG信号の発生機構に関して検討した。 振動電子二重共鳴SFG(DR-SFG)は、分子薄膜のキラリティを検出するための有用な手法である。円偏光二色性(CD)などの双極子禁制過程に基づく分光法と違い、SFG分光を用いるキラリティ検出は双極子許容過程を利用しているため、高感度である。キラルSFGの信号強度は主にラマンテンソルの逆対称成分(AlbrechtのB項)に由来しており、電子共鳴条件下での測定が特に有効となる。 ポルフィリン(Tetrakis-4-sulfonatophenyl-porphyrin, TSPP)は酸性水溶性中で会合体を形成するが、キラルな酒石酸分子が共存すると会合体はキラルな構造となる。会合体液をガラス基板上にキャストすることで膜厚約40nmの試料薄膜を作製した。490nm付近の会合体の吸収(Jバンド)に共鳴する条件下で薄膜試料の振動SFGを測定したところ、1300〜950cm^<-1>領域で強いキラルSFG信号が得られ、薄膜化した場合も会合体がキラルな構造であることが確認できた。信号発生機構を検討するために、観測された振動バンドの振幅の可視プローブ波長依存性(DR-SFG励起スペクトル)を測定した。特に、1090, 1130cm^<-1>バンドの励起スペクトルは振動バンド、キラル成分かアキラル成分かによって異なっており、吸収スペクトルとも異なった形となった。この特異なスペクトル形を、中間状態である振電準位が異なるいくつかのラマンテンソルの項の間の干渉効果として解釈した。
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Research Products
(7 results)