2010 Fiscal Year Annual Research Report
SFG分光法による有機および生体分子膜界面の電子振動状態の研究
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056007
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石橋 孝章 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70232337)
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Keywords | 非線形分光 / 振動スペクトル / 電子スペクトル / 生体分子 / 界面 |
Research Abstract |
・金基板上のシアノターフェニル自己組織化単分子膜の二重共鳴SFG分光 ジスルフィド基の両端にメチレン鎖を介してターフェニル基を導入した試料(単量体)と、純粋なアルキル鎖とメチレン鎖を介したターフェニル基を非対称に導入した試料(二量体)とに関して単分子膜を作製した。両試料の振動SFGスペクトルは、ほぼ同じ強度パターンを持ち、両試料中でのターフェニル基の平均配向が同じであることが示唆された。一方、スペクトルの全体的強度に関しては、単量体試料の方が、ターフェニル基の面密度がおよそ倍である二量体試料より大きかった。これは後者の試料膜中のターフェニル基の配向の乱れが前者のものより大きいためであると解釈した。またこの乱れは二量体試料の単量体試料に対する、二重共鳴電子励起スペクトルのバンド幅の増大と電子共鳴増強度の減少にも現れていると考えられる。 ・水溶液と接したシランカップリング膜の指紋領域における振動SFG分光 水溶液と接したシランカップリング分子膜の振動SFG分光を、水による赤外光の吸収による妨害を受けないように、基板側からプローブ光を入射させ実行した。この配置での測定を実現するため、紫外~赤外領域に対して透明なシランカップリング用の基板を、フッ化カルシウム板上にシリカ薄膜(125nm)を蒸着させることで作製した。作製した基板は紫外から赤外にわたる波長領域の光に対して75%以上の透過率を持ち、4000-1100cm^<-1>の領域の振動SFGスペクトルの測定に使用可能である。試験試料としてシリカ薄膜上にシランカップリングによってフルオレセイン色素単分子膜を作製し、振動SFGスペクトルの測定を行った。水溶液中のスペクトルは、溶液のpHによって大きく変化している。この原因は、フルオレセイン色素のプロトン化状態のpH依存性の為である考えられる。
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