2008 Fiscal Year Annual Research Report
白色レーザーを用いた細胞内生体分子の動的多光子分光イメージング
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 英明 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70334240)
|
Keywords | コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱 / CARS / フォトニック結晶ファイバー / 白色レーザー / 顕微分光 / イメージング / 多光子過程 / 生細胞 |
Research Abstract |
本研究では, 様々な多光子過程を用いることで, 生細胞などの生体試料を複眼的に可視化することを目指している. 本年度は, ナノ秒白色レーザーという新しい光源を用いてコヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(Coherent Anti-Stokes Raman Scattering ; CARS) 分光イメージングシステムを組み上げた. ナノ秒白色レーザーの開発には, 本装置の性能を十分引き出せるよう, 事前に十分検討を行った. 具体的には, ポンプ光の波長を近赤外1064nmにし, 特に生体組織に対する侵入長を確保した. また, CARS光発生のためには複数の波長の異なるレーザー光が必要であるため, 1064nmの発振線に加え, その光源の一部をフォトニック結晶ファイバーに導入して発生させた白色レーザーも光源として用いた. 1064nm及び白色レーザー光を同軸に配置して顕微鏡に導入し, 試料に集光することでCARS光を発生させた. その結果, これまで開発してきたCARS分光イメージングシステムと比べ, 露光時間が圧倒的に短縮できた(露光時間50msから5ms) と同時に, スペクトルの質が格段に向上した. これにより, 酵母などの生細胞からヒトの毛髪などの生体組織まで, 幅広い種類の試料から, 特に指紋領域に於いて鋭い振動共鳴の信号を取得することが出来た. その結果, CARSによる"ラベルフリー・マルチカラー"イメージングが達成できることが示された.
|