2010 Fiscal Year Annual Research Report
白色レーザーを用いた細胞内生体分子の動的多光子分光イメージング
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 英明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70334240)
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Keywords | コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱 / CARS / フォトニック結晶ファイバー / 白色レーザー / 顕微分光 / 生細胞 / 多光子過程 / 生細胞 |
Research Abstract |
本研究では,様々な多光子過程を用いることで,生細胞などの生体試料を複眼的に可視化することを目指している.本年度は,ナノ秒白色レーザーという新しい光源を用いたコヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(Coherent Anti-Stokes Raman Scattering;CARS)分光イメージングシステムを用いて,酵母生細胞や動物細胞の動態を追跡した.酵母を用いた研究では,CARSに加え,第二高調波と考えられる先鋭なスペクトルを持つ信号を532nmに見出した.形状及びこれまでの蛍光イメージングの研究との比較から,これは動物細胞の中心体にあたる,スピンドル極体というオルガネラである可能性がある.スピンドル極体は酵母が出芽するときに二つに分裂し,母細胞から娘細胞をつくりだす上で重要なオルガネラである.第二高調波によりこのオルガネラが可視化できたことは,非染色にて細胞分裂・出芽過程の動態を観測できることを意味する.本年度はさらに,蛍光タンパク質で標識した細胞内生体分子の二光子蛍光による可視化追跡も試みた.通常,二光子蛍光検出にはフェムト秒レーザーが用いられるが,本研究では,より汎用性の高いナノ秒レーザーにて,信号の検出ができることを示した.赤色蛍光タンパク質(DsRed)を細胞表層に発現した出芽酵母生細胞の多光子分光イメージングを行ったところ,細胞表層においてDsRedによる二光子蛍光を見出し,それによるイメージングにも成功した.
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