2008 Fiscal Year Annual Research Report
液体ヘリウム温度での単一分子分光による酵素の構造・機能相関の研究
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
19056011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 道雄 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (80260032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤芳 暁 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70371705)
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Keywords | 一分子 / タンパク質 / 低温 / 分光 / 構造機能相関 |
Research Abstract |
タンパク質は熱揺らぎによって絶えずそのコンフォメーションを変えながら機能している。したがってタンパク質の構造・機能相関を解明するには、こうしたコンフォメーションの多様性の理解が欠かせない。我々は、無数に存在するコンフォメーションを個別に観測してアンサンブル測定では隠れてしまっている情報を取り出すことを目指し、低温での単一タンパク質分光を展開している。技術的発展として、単一タンパク質の(i)温度変化の測定、(ii)可視域での測定、を可能にした。 (i)「単一タンパク質の構造変化の温度依存性の観測 : 熱活性型とトンネル効果」 ヘリウムガスフロー方式の温度可変クライオスタットに、低温で焦点合わせが可能な対物レンズマウントとサンプルホルダーを組み込み、一個のタンパク質の発光励起スペクトルの温度依存性を5-20Kの範囲で測定することに成功した。タンパク質の構造変化の頻度は温度とともに増加する熱活性化型のものと、水素結合のプロトンのトンネリングと考えられる温度に依存しないものとがあることが分かった。 (ii)「二光子励起を用いた液体ヘリウム温度における単一タンパク質の蛍光スペクトル測定」 液体ヘリウム温度における単一タンパク質分光による可視域での研究はまだ皆無である。われわれは、最も大きな問題であった低温用対物レンズの色収差を新しい一体成型反射対物レンズを開発することで解決したので、その最初の応用例として、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)について、近赤外光による二光子励起を用いた単一のGFP液体ヘリウム温度における可視域の蛍光スペクトルの測定に成功した。
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Research Products
(3 results)