2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるCdk5/p35の活用戦略とシグナル伝達抑制因子としての役割
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
19057007
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 眞市 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (20181092)
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Keywords | 脳・神経 / 酵素 / シグナル伝達 / タンパク質 / リン酸化 / Cdk5 / p35 |
Research Abstract |
Cdk5はサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)群の一つでありながら、最終分化した神経細胞で機能する特異なCdkである。活性化サブユニットp35のカルパインによるp25への限定分解はCdk5の異常活性化、そして、神経細胞死を引き起こす。それにも関わらず、神経細胞はCdk5活性を発現、活用している。神経細胞はCdk5/p35を利用しなければならない必然性と細胞死を誘導しないための防御法を備えているはずである。本年度は、アルツハイマー病で見られるタウの異常リン酸化に対するPin1とプロテインフォスファターゼの影響をCdk5によるリン酸化部位を中心に検討した. Cdk5でリン酸化したタウをラット脳抽出液とインキュベーションするとプロテインフォスファターゼ2A(PP2A)によって速やかに脱リン酸化される. しかし, 前頭側頭葉型認知症(FTDP-17)の変異タウP301Lでは脱リン酸化が遅く, R406Wでは早くなっていた. これは脱リン酸化速度にはリン酸化部位特異性があり, Ser404のリン酸化部位がR406Wではなくなっていたためである. Pin1の脱リン酸化に対する影響について調べたところ, Pin1KOマウス脳抽出液ではWTタウの脱リン酸化は遅くなり, P301Lの変異の影響が見られなくなっていた. FTDP-17の変異はPin1の影響を失わせることが示された. タウの脱リン酸化はタウが微小管に結合すると殆ど起こらないことが示された. 微小管との結合によってタウの構造が変化し, 脱リン酸化されなくなったものと考えられる. アルツハイマー病でのタウの異常リン酸化を明らかにする大きな手がかりになると考えられる.
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Research Products
(6 results)